出版社内容情報
永い間、人々に食されてきた和菓子。武士や貴族そして文化人まで、歴史に登場する人たちと和菓子の隠れたエピソードを綴る。
虎屋文庫[トラヤブンコ]
内容説明
嬉しいとき悲しいとき、そばにはいつも和菓子があった。歴史上の人物100人と和菓子。天下人・文豪・市井に生きる人たちの誰にでも、思い出に残る和菓子がある。
目次
第1章 文学の名脇役
第2章 あの人の逸話
第3章 心が通う贈り物
第4章 徳川将軍をめぐる人々
第5章 江戸の楽しみ
第6章 旅で出会う
第7章 我、菓子を愛す
第8章 茶人の口福
第9章 思い出は永遠に
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
48
虎屋のホームページで紹介している歴史上の人物と和菓子にまつわる逸話の一部を加筆・修正しまとめたもの。和泉式部が別れて暮らす息子・石蔵宮に母子餅(草餅のこと。当時は母子草〈ゴギョウ〉を使用)を、この母子餅はあなたのことを考えてつくったんですよという歌を添えて送った話や中勘助の『銀の匙』に描かれた駄菓子の思い出など、切なく懐かしく甘いエピソードを楽しみました。文字焼を楽しむ明治の子供に共感するモースの話など、優しい人柄が偲ばれる話も多く、お菓子は人の甘い、優しい面を引き出してくれるものなのだなと感じました。2017/09/29
川越読書旅団
36
歴史上の人物100名(紫式部に始まる主に文筆家)が好んで食した、もしくは作品に登場させた和菓子をエッセイ風に解説する、和菓子屋の老舗「虎屋」の虎屋文庫スタッフが執筆・編纂したエピソード集。写真や解説図もふんだんに掲載され、眺めるだけでも非常に楽しい。個人的には鴎外先生の「饅頭茶漬け」を是非食してみたい。2021/08/12
HMax
32
「野明亭 清滝の水 汲みよせて ところてん」 ところてんを食べて、涼しい気分を味わいたい。 歴史上の有名な人と和菓子のエピソードが満載の一冊。面白いエピソードを敢えて一つ取り上げるとすれば、江戸3大美人の一人、笠森お仙と団子。谷中笠森稲荷前の茶屋の看板娘のお仙ちゃん、小説はできるは、双六、手ぬぐい等々のキャラクターグッズは売れるは、店からいなくなると大騒ぎ。挿絵で見ると現代風の美人。2020/08/22
花林糖
18
【新年★初読み会】(図書館本/購入)虎屋の菓子資料室虎屋文庫で奇数月に掲載されている「歴史上の人物と和菓子」を書籍化した本。とにかく再現されている和菓子が美味しそうで堪りません。タウンゼント・ハリスに将軍家定(幕府)からの贈り物の四段重ねの重箱入り和菓子が素晴らしく、代金六十五両とのこと。森鴎外の饅頭茶漬けは試してみたら其れほど変ではありませんでした。2020/01/01
tom
16
虎屋のようかんは美味いと思う。虎屋文庫は、虎屋に保存されている菓子資料のコレクションを管理している。この本は、虎屋文庫の機関誌に掲載された記事を集めた本。見開き2頁に菓子の写真・図版付きで、菓子と人にまつわる、いろいろなエピソードが満載。それにしても、大昔の文献を読みこなし、周辺事情も調べ、当時の菓子を再現して、記事にしているわけです。虎屋文庫に在籍している人たちの丁寧な仕事にちょっとびっくり。いろんな菓子が載っていて、見るだけでも楽しいのだけど、和菓子は、およそ味が想像できるというところが玉に瑕。 2017/08/07