内容説明
数学書を精読するために必要不可欠な技術を、現役数学者がやさしく解説。数学を学ぶ、すべての人へ。一行一行、時間をかけて、ていねいに。「~でない」「かつ」「または」「ならば」の正しい扱いかた。定義や具体例を読むときのポイント。全称や存在を含む命題の証明パターン。「場合分け」「数学的帰納法」「背理法」の証明を読むときのポイント。
目次
第1部 基礎編(数学書はどのようなものか;数学語を身につける;数学書の読みかたの基本;全称と存在の議論を読みこなす)
第2部 実践編(数学の文章を読みこなす:写像を題材として;さまざまな論法)
著者等紹介
竹山美宏[タケヤマヨシヒロ]
筑波大学数理物質系教授。専門は特殊関数論、およびその数理物理学・教論などへの応用。2002年京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻修了。博士(理学)。京都大学大学院理学研究科日本学術振興会特別研究員などを経て、2019年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kochi
15
竹山先生は数学の勉強の仕方をネットで公開されていて、それを中心にまとめた書籍と思われる。数学の本、特に教科書は定義、定理の証明が淡々と続くので、小説を読む感覚ではついていけず、「何がいいたいの?」となかなか読みづらい印象だが、本書では大学に入ったばかりの人が、躓きそうになるポイントを細かいところまで指摘してあり、昔のチャート式みたいな受験参考書っぽい雰囲気が特徴。終盤に出てくる「ディリクレの定理」の式を見て、これは「実数を有理数で近似したいのかなぁ」と閃いたのだが、果たして、本書により蒙を啓かれたのか!2022/09/17
Bartleby
11
内容としては大学数学入門といったあたり。「数学語」は「日常語」とはちょっとズレていることまで丁寧に忠告してくれている。本書で力説されているのは、とにかく「定義」(+設定)を覚えようということ。それが何を定義しようとしているのか、という前提も。これは本当にそう。証明を読んでいて迷子になるときはだいたいこれ。内容が抽象的すぎるときは複数の類書にあたって「具体例」を見つけること。なるほど。これらもろもろを踏まえて、もう一度多様体についてのテキストに挑戦してみよう。2022/10/28
W.
7
久しぶりに学問としての数学に触れて楽しかった。内容が非常によく体系立てて整理されており、伏線回収のように、過去の定理を用いて新たな知識を得るところが数学の醍醐味だったのだと思い出した。2022/09/13
蠍
6
本当に丁寧に書かれており、数学書を読む時は行間をここまで追わなきゃいけないのかとためになった。2023/05/08
夜桜銀次
5
大学で使う数学書の読み方を解説した本。大学1年生、独学、趣味の人などに役立ちそう。 理系の人が「1行理解するのに数時間、数日かかることもある」というのも納得。 扱う例文もほぼ易→難になり、前に解説した定理を後ろで用いるなど、前から順にゆっくり丁寧に読めば、ディリクレの定理や超越数の話にたどり着く。 あとは、巻末の参考文献リストや挫折した数学書など、実践を積んでいこう。2023/11/04