出版社内容情報
天台仏教の神秘的霊地となった比叡山を、その原初的起源に日吉信仰をみながら、天台の山岳仏教的姿と神祗信仰との関連を浮きぼりにし、さらに葛川明王院を中心に修験道への形成過程に至るまでを、あらたに究明する。未刊史料「回峰手交」を収録。
内容説明
日本に伝えられた天台は、神仙的な山岳信仰の影響をうけた仏教であったから、山岳に富むわが風土にも適するものがあり、なかんずく最澄が本拠と定めた比叡山は帝都と隣接した地域にありながら俗塵を離れた環境を保持しえるという有利な立地条件を具えていたこともあって、わが原始的山岳信仰は高度の中国仏教受容を通じ多彩な変化発展をとげることになった。土着の日吉信仰と天台仏教の習合は、中国の山岳霊域における土俗の信仰と仏教の融合に端を発している。この意味から、日本天台の山岳宗教的特色は神祇との習合的発展を通してもっともよく理解されうると思うのである。本巻では、神祇信仰や日本的な固有の山岳宗教観との関連を重視し、その方に比重のかかった編集を試みている。
目次
総説 比叡山の歴史的概観
第1篇 原始信仰の起源と日吉信仰
第2篇 天台仏教の発展
第3篇 天台と修験道
第4篇 天台の守護神と神道
史料篇 (回峯手文;比叡山主要史料目録;比叡山略年表)
著者等紹介
村山修一[ムラヤマシュウイチ]
1914年大阪市に生まる。京都大学史学科卒。京都女子大学教授を経て、現在愛知学院大学教授・大阪女子大学名誉教授・文学博士。『葛川明王院史科』『本地垂述』(吉川弘文館)『山伏の歴史』(塙書房)ほか著書多数
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