内容説明
『列子』は先秦時代の道家列禦寇の撰したものとされる。寓話や神話伝説に富んでおり興味の尽きない内容となっている。本書では、成立や章句に異説が多く難解な書とされてきた『列子』の、「天瑞」「黄帝」「周穆王」「仲尼」「湯問」「力命」「楊朱」「説符」八篇の一部を取り上げ、その読みどころを簡潔にまとめた。
目次
第1 天瑞篇
第2 黄帝篇
第3 周穆王篇
第4 仲尼篇
第5 湯問篇
第6 力命篇
第7 楊朱篇
第8 説符篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
兵士O
18
この本に百歳まで生きている林類という元気爺さんの話が出てきます。収穫の終わった畑で鼻歌を唄いながら落ち穂を拾っている爺さん。通りかかった孔子が、奴は只者ではない、と弟子の子貢を向かわせます。あんた、世間並みの努力もせずに、しかも妻子もおらず、何ルンルンしてるの?と尋ねる子貢。努力しなかったから長生きしている、妻子がいないから煩うことがない、だから無事死ねるんだ、と返す爺さん。子貢がそのやり取りを報告すると、生死にこだわっている所が今一歩ってとこね、と評する老荘版孔子。ホント、列子の求道者は情がないね~。 2022/10/10
こひた
4
人生いつ周恩来さんに色紙でマウントされるかわからんで,知らない出典これがちを予習。空集合の輪郭こそ本質とか身体こそ相対概念,影映した地面のでこぼこや歪みは本体と無関係,遺伝と環境どちらにも帰責せぬが名医,杞憂はレベルK思考の先がとか漢籍に深い解説がつき,権力者が大衆操作しやすい抽象概念をこねる素材って留まりではない。ただ実子の夭逝に無関心な夫を大人物扱いは妻と出生に払ったコストが万倍ちゃうわだし,真昼と夜明けの太陽の近さは地平線への半径分の差で計算でき勝手に出演させられた孔子ディスのが浅いやろと。2025/06/19
ソルト佐藤
4
面白い!尊敬されるべき、列子先生がちっとも偉そうに書かれずに道化役に徹していたり、偉大なる利己主義者の楊朱先生のキャラが立ちすぎ。話も変なのばかり、特に夢の中のことを裁判する話は、もう、アンチミステリの領域に達している。恐るべしや。一方で、無為自然的な生き方にはあこがれるが、それを極めた人たちの描写はあまりにも冷たい。それが法家の考えにつながっていくのかもしれない。それだからそ、列子先生は、あたたかな愚者に書かれているのかもしれない。2010/02/14