内容説明
時の権力の消長と密接な関係のあった中世和歌史は、文芸史的にのみでなく、歌壇史的展開をも十分に考慮する必要がある。未刊・未紹介の資料等、豊富な資料により中世歌壇を実証的に活写する。南北朝期は弘安十年から南北合一の明徳三年まで、室町後期は延徳元年以降慶長初年に至る戦国・安土桃山時代を扱う。待望の改訂新版。
目次
第1編 鎌倉末期の歌壇(正応・永仁期の歌壇;嘉元・徳治期の歌壇;延慶・正和期の歌壇;文保~元弘期(鎌倉最末期)の歌壇)
第2編 南北朝初期の歌壇(建武新政期の歌壇;暦応・康永・貞和期の歌壇)
第3編 南北朝中期の歌壇(文和・延文期の歌壇;貞治・応安期の歌壇)
第4編 南北朝末期の歌壇(建徳以後の南朝歌壇;永和~明徳期の歌壇)
著者等紹介
井上宗雄[イノウエムネオ]
大正15年、東京生まれ。昭和26年、早稲田大学第一文学部卒業。のち、立教大学文学部教授。文学博士。専攻は中古中世和歌史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山がち
1
とにかく圧巻の一言に尽きる。資料をことごとく集め、資料によって歌壇史を描ききっている。あまりにも精緻に書かれているため、その全体像が全く頭に入ってこない。繰り返し読んで頭に叩き込むか、必要なところを辞書的に読むという読み方が必要か。本来的な私の関心は二条家にあるはずなのに、御子左家末流と六条家との対立が最も印象に残っているのはどういうことであろうか。特に為世はまさに皇統分裂の中で合わせて為兼と対立するという、政治的にも和歌史的にもある種南北朝の中心的出来事を成しているだけに、ますます謎と言わざるを得ない。2014/03/25
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- 聖徳太子と豊前・豊後