出版社内容情報
ジャック・デリダ[ジャック デリダ]
著・文・その他
守中 高明[モリナカ タカアキ]
翻訳
内容説明
プラトンの宇宙開闢論『ティマイオス』に書き込まれた特異な語=「コーラ(場)」。「あるときコーラは、これでもなくあれでもないようにみえ、同時にこれでありかつあれであるようにみえる。」あらゆる概念的同一性を逃れ去る、そんな場なき場/その深淵状の謎をデリダが読み解く。今日、われわれは、みずからの“場”をどのように名づければよいのか?哲学のみならず、フェミニズム、建築の思考に深い影響を及ぼした事件的書物、翻訳刊行。
著者等紹介
守中高明[モリナカタカアキ]
1960年生まれ。フランス文学・思想専攻。早稲田大学法学部助教授。詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
27
コーラとは、場所、容器をはじめとして、国家、苗床(女性性)など複数の意味を持つひとつのエクリチュールのことです。複数のコンテクストで様々なものを合流させ包摂させる隠喩であり、もの実在性はどこにも無く、エクリチュールが存在することによってコーラという名ざしの過剰が更にコーラとして意味が揺らぎつつ機能していく。固有性を有しないという主題でも支持体でもない。プラトンの『ティマイオス』から来ている感性的な神や叡智的な神にも属さない、類型を引き起こしそれに抵抗し、ロゴスではないため○○であるとは決して書かれない…2020/09/21
tyfk
4
講談社学術文庫『ティマイオス』の該当箇所を読むと訳の文体があまりに平易になりすぎてて、こっちを先に読んでよかった。文庫先だったら、留意すべきポイントを読み飛ばしてそう。2025/01/04
Motoaki Iimori
0
コーラについての言説は、メタ的に入れ子状にズレていってしまうが、そもそもそのコーラが語られている場である『ティマイオス』自体が、入れ子状のストーリー展開になっている。それを描き出すデリダのストーリーテラーっぷりがすごい。2012/02/13