出版社内容情報
香川県と岡山県の間の瀬戸内海の中央に点在する塩飽諸島につたわる、陸地とは異なった味をもつ昔話を収録する。島の近代化と共に忘却されようとする伝承を採集した貴重な書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
itokake
9
瀬戸内海の塩飽(しわく)諸島の昔話で、「候えばくばく」は語り納めの言葉。今はどの島でも高齢化が進んでいる。現在、島に暮らすのは本書に登場した語り部の孫かその子供なんだろうな…。3人のお婆様の写真が巻頭にあり、話者を身近に感じる。「ビードロを逆さに吊す」という美人の形容が昔話に使われている。『白仏』は人間のお骨を砕きそれを仏像にしたものらしいが、昔話でははったい粉が風で顔にかかり真っ白になったおじいさんを「白仏だ」と通りがかった殿様が勘違いしてお賽銭を投げた。これを隣の爺が真似るがうまく行かない王道の流れ。2022/06/01