感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
23
共に、高度成長前の日本の姿。確かに貧しいけど、「搾取され虐げられた民衆」という都会からの捉えられ方に対し、宮本が、違う、自分が会ってきた人々はもっと主体的で明るい!そんなプロテストの書である。でもだからといって、宮本は「昔の村々は良かった」とは言わない。問題は、小農経営や流通、難船のリスクといった制度や技術のほうだと訴えていく。「日本の~」では近代日本の学校教育が見てこなかった村の子供たちの主体性を、「海を~」では少しでも暮らしをよくしようとした人々の近世以来の仕事を通じて。だから筆は両方、とても温かい。2014/04/13
アメヲトコ
5
1969年刊。57年・59年の2著作を収録。前者は日本の子供の生活をまとめたものですが、現在とは隔世の感があります。後者は小学生向けにまとめられたものですが、非常に面白い。とりわけ捕鯨の世界の人的交流の広がりには目を啓かれました。著作集前書きにおける著者の階級闘争史観への懐疑にも著者らしさがよくあらわれています。2024/08/30