出版社内容情報
ヴィーリ・ミリマノフ[ヴィーリ ミリマノフ]
著・文・その他
桑野 隆[クワノ タカシ]
翻訳
内容説明
ロシア・アヴァンギャルドの運動と展開を世紀転換期から1930年代まで追い、世界の美術史のなかに位置づける基本書。カラー図版多数収録。
目次
ナロード
西欧
ロシア・アヴァンギャルドを生みだしたロシア特有の背景
二十世紀後半
著者等紹介
桑野隆[クワノタカシ]
1947年11月22日、徳島県生まれ。1972年、東京外国語大学大学院スラヴ系言語専攻卒。現在、早稲田大学教育学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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松本直哉
23
何よりも豊富な図版が魅力で、それだけで楽しい。アヴァンギャルドの前夜の世紀末から、以後の社会主義リアリズムまでカバーしていて、その間の連続と不連続が自ずから明らかになる。シャガールやカンディンスキーなど西に脱出した人々だけでなく、ソ連にとどまり体制に睨まれながら活動を続けた芸術家にスポットを当てる。革命1周年のメーデーを前衛の最先端のような絵画が飾っている写真が興味深く、少なくとも初期は芸術と政治の共存があったことを示す。社会主義リアリズム=退屈と思いこんでいたが、なかなかどうして魅力的な作品も少なくない2022/09/05
工藤 杳
1
本文は最初の3分の1ほどで、あと3分の1は桑野さんのグロイス批判、最後に図版。 アヴァンギャルドに関しては類書がいくつもあるが、本書の場合社会主義リアリズム〜ソ連後期非公式芸術にもちょっと触れられているのが貴重。2018/04/08
G.D
1
ロシアアヴァンギャルドを絵画のみに絞って豊富な注釈、またカラーの絵画を資料として載せているのが前半のミリマノフ氏の部分。 ロシアアヴァンギャルドを全体主義と同一のものとみなすグロイスを徹底的に批判しているのが桑野氏の書かれている後半部分。 ロシアアヴァンギャルドは本書にもある通りこの本の出版された時点ではまだ情報が少なく、その研究はそこまで進んでいなかったようである。 自分は芸術批評は不得手なので、この本から自分の好みのシュプレマティスムについて考察しようと思ったが厳しかった。残りの一冊も読んで考えたい。2016/09/25
ユーディット
0
美大時代に大いに影響を受けた作品をいくつか作った。年齢と美意識の関連について考える
毒モナカジャンボ
0
ロシア・アヴァンギャルドは欧米だとその独自性よりも20世紀初頭の西欧(特にパリ)からの影響を受けているという理解が定説らしく、本書もその辺りしっかり押さえてくれる。図版が多くて大変嬉しい。しかし一番注目すべきなのは多分訳者による解説である。ここではボリス・グロイス『全体芸術様式スターリン』の徹底的な批判が行われている。社会主義リアリズムとロシア・アヴァンギャルドの連続性を主張する言説が根拠として持ち出してくる作品や言説の恣意的な引用・過度な図式の単純化がネチネチやられてていい。とまれ作品にあたるのは大事。2021/03/14