出版社内容情報
〔ミュラー・コンテンポラリー〕ラクロの書簡体小説「危険な関係」を改作した「カルテット」は演戯に演戯を重ね、暗喩と諧謔に満ちた政治的恋愛ゲーム。他に最新テクストを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
333
ブレヒト以降のドイツ演劇については全く何の知識もなく、ハイナー・ミュラーも初読であるばかりか、その名前さえも本書で初めて知ったような次第。不勉強ゆえに印象批評めいたことしか語れない。表題作と、もう一つの連作(?)劇、そして連作長編詩のようなものを収録。「カルテット」は、一応はラクロの『危険な関係』を下敷きにしているらしいのだが、受ける印象は三島の『サド侯爵夫人』のセリフ回し、あるいは内容的にはサドそのものに通底するかのようである。登場人物はメルトイユとヴァルモンだけなのであるが、彼らは劇の途中で互いに⇒2019/10/30