内容説明
19世紀パリっ子で賑わう一角に出現した恐怖劇のメッカ、グラン=ギニョル座は、世紀末の頽廃や大衆文化の源流と20世紀初頭の前衛劇の清新な形式が先取られていた。
目次
1 グラン=ギニョル―恐怖の劇場
2 演劇的恐怖の起源と発達
3 恐怖演劇の自然主義―進歩と現実性の文脈において
4 恐怖と異国趣味
5 技巧と素朴のはざま
6 赤い文字―グラン=ギニョルの文学史
7 アンドレ・ド・ロルド―図書館司書にして恐怖王
8 ある演劇の狂気と死
9 グラン=ギニョルとその後…
10 アンドレ・ド・ロルドとの空想の対話
著者等紹介
梁木靖弘[ハリキヤスヒロ]
1952年1月福岡県生まれ。1974年早稲田大学文学部演劇科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
10
19世紀パリの一角に咲いた異形の華。恐怖と笑いに彩られた演劇を紹介している。個々の内容の紹介ではなく、それ自体が含んでいる内容、神経症とか異国趣味、血、等の影響を論じたものであるため、これを読んだだけでは雰囲気はわかっても全体的な構図はわかりにくいのではないかと思った。先にグラン=ギニョル傑作選を読んでおいてよかった。とはいえ数少ない邦訳されたグラン=ギニョルの研究書であるため、それのもつ雰囲気等は十分に感じ取ることができた。「顔のない目」一度見てみるべきかなあ。2011/06/25
mittsko
5
どのジャンルであれ《ホラー》に興味のある方、ぜひぜひ読んでほしい! 原文のせいか訳文のせいか、すごく読みにくいのが玉に瑕なのだけど… 19世紀末にパリで花開き半世紀を超えて存続した暗黒恐怖芝居小屋「グラン=ギニョル」。その演劇史的、文学史的な研究で、日本語で読める単行書はいまだこの一冊しかない(原79年、訳89年)。全頁が刺激満載だけど、この演劇を《世俗》的演劇の純粋形態とみなすボクは、短い第3章「恐怖演劇の自然主義―進歩と現実性の文脈において」をくり返し読みました。面白かった…(。・ω・。)2018/10/23
紅独歩
2
率直に言って、読みづらい。原文が(おそらく)持って回った表現を多用しているうえ、訳文もこなれているとは言い難い。とはいえ「グラン=ギニョル」についての貴重な邦訳本には違いないので、まず『あとがき』(グラン=ギニョル解説)→「8.ある演劇の狂気と死(グラン=ギニョル小史)→「7.アンドレ・ド・ロルド(代表的脚本家紹介)」の順に読むことをお薦めする。2012/05/10
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