出版社内容情報
ダーチャ・マライーニ[ダーチャ マライーニ]
著・文・その他
望月 紀子[モチヅキ ノリコ]
翻訳
さかた きよこ[サカタ キヨコ]
イラスト
内容説明
イタリアを代表する作家・詩人・劇作家、ダーチャ・マライーニによる、子どもから読める短篇集。運命なんてはねつけろ!クローン問題をうったえるために国連にいくおばあさんひつじ、サーカス団から追い出されたのっぽの娘スピル、つかまってしまった親友をさがす犬のテレマコ、毛皮にされた母親を助けだすきつねの子トゥトゥ…風変わりな登場人物たちに巻き起こる魅惑の冒険譚10篇。
著者等紹介
マライーニ,ダーチャ[マライーニ,ダーチャ] [Maraini,Dacia]
1936年フィエーゾレ生まれ。作家・詩人・劇作家。民族学者の父フォスコ・マライーニとともに1938年来日。終戦までの約2年間を名古屋の強制収容所で過ごし、1945年帰国。1962年『バカンス』でデビュー。1963年に『不安の季節』でフォルメントール賞、1990年『シチーリアの雅歌』でカンピエッロ賞、1999年Buio(未邦訳)でストレーガ賞受賞
望月紀子[モチズキノリコ]
東京外国語大学フランス科卒業。イタリア文学
さかたきよこ[サカタキヨコ]
多摩美術大学卒業。版画をはじめとした絵や詩、映像の制作をしながら、装画や挿絵の仕事を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
81
イタリアの作家であり、詩人、劇作家でもあるダーチャ・マライーニの短篇集。クローン問題に果敢に立ち向かい、単身国連へ乗り込む哲学者のおばあさん羊ドリーの独立心と聡明さに胸がすっと開き、額を突き合わせて喧嘩する黒エナメルの夫婦が賑々しい靴箱での夜を越え、静かな特等席を手にするお話に青く柔らかな夜を浮かべた。10篇のお話は子供たちも読めるようにと作られたものではあるけれど、日本の子供たちには難しい印象で、世界の文学水準の高さを感じた。(⇒)2020/05/12
あじ
43
人間の男に恋したカラスの憐れな結末に胸を泣かせ、空を飛びたいと願うキャベツが、天使の羽を得た時に自由を祝福したり…。短編ゆえの目まぐるしい起承転結は、私の好みに合致した。グリム童話の要素がある10編は、嫌な予感と歪な愛情を孕みつつ進行していく。作者のダーチャさんは第二次世界大戦前後に、日本で暮らした経験を持ちファシズム政権に抵抗、日本の収容所に二年もの間収監された。物語に込められた“教訓”を、鉛を飲み下す思いで苦く受け止めた。2016/10/25
空猫
27
伊国では小中高校の教材に使われているそうだ。教訓譚ではあるがママに恋人がいたり、どこか皮肉めいて残酷で、日本の児童書との違いにまず驚く。人(政府)の手を借りないで自分達で解決しようなんて伊っぽい、あのクローンを皮肉った『ひつじのドリー』。猪と靴の一家の全面戦争『くつに住む一家』。毛皮にされたママを助けに奮闘する『きつねの毛皮』。人間に飼い慣らされず自立し自由を勝ち取る話が多いのは、作者が戦中、名古屋近郊の強制収容所にいた体験からなのか。子供向けだが大人が読んでも充分楽しめる。他の作品も要チェック。2019/04/18
花林糖
23
大人向け童話かと想像してたら全く違った。表題作はイタリアで小中高学校の教材に使われるとのこと。シュールさ奇想天外さ風刺寓話をMIXした感じ。短編10話。お気に入りは「エナメルのつく」「カナダのカラス」「こびと夫婦の娘スピル」「旅するキャベツ」「きつねの毛皮」。一番は娘スピルの話。2017/02/11
mntmt
23
挿絵に惹かれて読んでみた。動物や鍋やキャベツなどが主人公。寓話的で風刺が効いてた。2016/11/26