出版社内容情報
木村 友祐[キムラ ユウスケ]
著・文・その他
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
103
朝日新聞のレビューを見て手に取った。主人公の出身地は八戸。そこで漁師をしていた叔父のイサがこのタイトルの人物なのだが、イサの描かれ方が中途半端な気がした。作者は八戸のことを、被災地だが死者の数も被災の仕方も中途半端だとしているが、中途半端なりにきちんと描いてほしかった。八戸の震災も、被害も、イサのことも、主人公の抱える空洞も、全て描ききれておらず、どれが一番人気書きたいことなのかもよくわからないまま、終盤を迎えてしまったような読後感だ。2016/04/10
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
67
☆6.0(5点満点で) 似非同情など糞喰らえ! 大合唱に抗う臍曲りにもみえる、服従を良しとしない反骨が清々しい! 2020/12/31
百太
29
東北弁と言えども青森の言葉は、どこかフランス語に聞こえてしまう。表紙絵といい、とっても読みたかった本です。三島賞候補。東北人の妬みって言われても仕方ないけど、地団駄踏んで怒りたくなる。将司の感覚や気持ちの持ちように共感する自分に、又卑屈にになりそうです。面白かったです。2018/03/23
竹園和明
28
これを上梓した木村友祐氏に喝采を送りたい。あの震災後、「頑張れ」とか「絆」といった励ましの言葉をよく見たが、それらの言葉は次第に安易に飛び交う常套文句になってしまった。しかしそれ受ける被災地側には、例え上辺だけの励ましに対してもお礼を述べるしか選択肢はない。この本に登場するイサ、そして将司の荒くれだ反骨魂は、まさしくそんな無味乾燥な言葉をかけられ続けた被災地の人々の本音だ。形骸化した励ましやいたわりは意味を成さない。この島国でそんな希薄な絆でいいのか!?と叫んでいるように感じた。2016/05/09
Tui
21
東日本大震災を語る多くの書籍(小説もノンフィクションも)やメディアは、そして読み手側も、被害者数や津波の高さなどインパクトで題材を選んでいないか。わかりやすい被害に報道が偏っていないか。静かな叫びが、八戸のことばで生々しく交わされる。犠牲者が1人だった街は声高に悲しみを発信することもためらってしまう。もっとひどい街があるのに自分たちが苦しみを訴えるのはおこがましいのではと遠慮してしまう。震災から6年、当事者の声にとても近い肌感覚の物語。この本をラジオで取り上げてくれた小川洋子さんに感謝です。2017/04/06
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