出版社内容情報
〔廓女いま・むかし〕娑婆恋鳥は廓の苦界を飛び立つことを夢みる遊女らの姿。廓社会のほかに売られ娘以前の村の子ども時代を語った本書で《昭和遊女考シリーズ・4部作》完結。
内容説明
15年にわたる聞き書きの旅、「昭和遊女考」「鬼追い」「鬼灯火の実は赤いよ」に続いて本書で〈昭和遊女考〉4部作完結。
目次
1 辰さんのうた
2 俵はごろごろ
3 娑婆恋鳥
4 娼妓教育勅語
5 おりおりの言葉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本の紙魚
2
「昭和遊女考」からの四冊を約一年かけて読み終えた。老いた昔遊女たちのうち、先達となって世を去った者、いまだ残る傷と仲間との日々。もう一度1冊目から読み直したほうがより鮮明に分かりそうだが、もう一度彼女たちの人生を追うのは辛いとも思う。「本当の鬼追いとなった出来事」は本当にひどい話(育った家庭が)。女将や女中であっても、廓に居ただけで外の世界では差別される辛さ。特殊な世界で生きても特殊な人たちではない。家族を支え故郷を恋しく思う普通の人たちが普通に生きられなかった社会の理不尽さに改めて怒りと悲しさを覚えた。2024/09/05