出版社内容情報
〔政治および道徳問題の批判をこめて〕女性解放思想の出発点として不滅の地位を占める古典の完訳。18世紀に女性の経済的・精神的自立を主張して、人類の半分を目覚めさせた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
9
イギリス初の女性解放思想家メアリ・ウルストンクラフトの代表作。女性の公教育の不十分さ、男性が女性を性的にとらえる眼差し、そこに起因する女性の依存性への警鐘を格調高い文章で謳いあげる名作。ルソー『エミール』を何度も引き合いに出して徹底的にディスるのには苦笑したが、当時高名な思想家であったルソーにすら偏見としての女性蔑視が潜んでいたことは当時の社会を知る上で重要。でも、占いや軽薄な小説、男をたてることや衣装のことしか考えない女性は精神的に奴隷なのだという感覚は、今にも通じるよなー。少し潔癖なきらいがあるけど。2021/03/02
魔魔男爵
5
仏革命後、新憲法制定委員のタレイラン・ペリゴールが1791年9月10日に立憲議会に提出した『公教育についての報告』が、自由平等の精神に基づいている筈なのに、女子の公教育は9歳までで終了させ、以後は家庭に閉じ込めるのが相応しいなどとあったので、怒り狂ったメアリ・ウルストンクラフトがわずか六週間(夫の無政府主義者ゴドウィンの証言)で書いたのが、『女性の権利の擁護』である。教育論がメインだが、社会主義フェミニズム以外の全てのフェミニズムの萌芽がある女性解放思想書の元祖と言われる。これ以前の全ての思想書は、女性は2017/07/05
tekka
1
「多くの男性は、馬の飼育に精を出し、馬小屋の管理には目を光らせるのに、子供部屋に注意を向けたりしたら自分の権威が失墜すると思っている。」2022/07/26