出版社内容情報
高橋 美香[タカハシ ミカ]
著・文・その他/写真
内容説明
絶望とわずかな希望のはざまで―。前著『パレスチナ・そこにある日常』から6年、分離壁・入植地の増大、不当な逮捕・拘束はさらにエスカレートしている。“自分にできることなどなにもないのではないか”と挫けそうになりながらもかの地の人びとに魅せられ通いつづけるカメラマンと、彼女を大きな愛で受け入れる「家族たち」との交流をとおして、「パレスチナ問題」の現実を描く。
目次
二〇一一年(ハムディとアブーラハマ家;ハイサムとその家族;村人たちの日常;ナーブルス;別れ)
二〇一二年(視察同行;ジェニン難民キャンプのアワード家;ベザリヤへ;ビリン)
二〇一三年(死;ある家族の喪失と再出発;エルサレムの片隅で生きる;ハムディと告白)
二〇一四年(それぞれの抵抗と闘い;ジェニン それでも、木を植える;ビリン オリーブ摘みの日々)
著者等紹介
高橋美香[タカハシミカ]
写真家。1974年広島生まれ。パレスチナ、エジプト、アフガニスタン、彫刻家・金城実氏や、沖縄、震災被災地の宮古などで「困難」と闘う人々の日常を主なテーマとして撮影、作品を発表。アフガニスタン山の学校支援の会運営委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かもめ通信
30
写真家の高橋美香さんの最新刊。パレスチナに何度も足を運び、そこに暮らす人びとと寝食を共にするだけでなく、収穫作業を手伝ったり分離壁に抗議する非暴力デモに参加したりしてきた彼女は、自分の立ち位置をはっきりさせた上で、彼女の考える「真実」を真剣に語ってくれる信頼できる語り手だ。分離壁や入植地は増大し状況はますます厳しいものになっているが、この本の中に凄惨な写真は掲載されていない。写し出されているのは沢山の笑顔や真摯なまなざし。深い愛情や悲しみを全身で表現しながら営まれている人々の暮らしぶりだ。 2016/12/19
にたいも
8
『ママとマハ』『パレスチナのちいさないとなみ』の彼らの笑顔を思い浮かぶ。白血病で治療が必要なのに病院に行くのに許可が要る、親なのに見舞いに行く許可がおりない、デモの人々への催涙弾、畑がつぶされてイスラエル人の入植地になる、学校を出たところで撃ち殺される、家にコンクリートを流し込まれる。それが、知らない誰かではなく、美香さんが親交を結んだ顔の見える大切な人々の身に起こっていること。畑を耕し、実りを収穫することに喜びをもつパレスチナの人々。2023年10月7日が始まりだと思っている人も読んでほしい。2024/10/16
そら。
4
日本ではほぼニュースで取り上げられる事のないパレスチナ問題。イスラエルによる分離壁や占領、入植地の拡大、封鎖、抑圧、不当な逮捕、人権侵害が常態化し悪化するばかり。 そんなパレスチナで「家族たち」の家で暮らし「日常」を追う事にこだわり続けた数年間の渾身のルポ。 読後、やりきれない気持ちと無力感でいっぱいになったが読んで良かった。2017/06/29
愛希穂
1
パレスチナのことに関心を抱いている日本人は少ないかもしれません。でも、ぜひ読んでもらいたい一冊。 パレスチナに生きる人々と一緒に生活をし、その彼らの日常を伝えている。 でも、その日常は私の日常とは大きく違う。死が隣りあわせと言っても言いすぎではない状況下に置かれている。 それでも、もてなす心を忘れず、またお互いを気にかけながら日常を生きている人々はすごい。この本に収められているパレス…(ブクレコからインポート、全文はコメントに掲載されています)2017/05/14