出版社内容情報
顕在的であれ潜在的であれ権力関係の観察可能な次元から、更に権力のよりみえにくい次元の経験的研究を進める道を提示する、理論的意味でも政治的意味でもラディカルな権力観。
内容説明
本書は、権力の概念分析を提示し、理論的意味においても政治的意味においても等しくラディカルである(つまり、こうした文脈からすればその双方の意味が密接に関連しあっている)権力観(権力の捉え方)の擁護を試みる。
目次
一次元的権力観
二次元的権力観
三次元的権力観
権力の基礎概念
権力と利害
三つの権力観の比較
難問
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
深夜の麦茶
1
権力が行使されるとき、そこには「他にもありえた可能性」が前提とされているという話。これが、決定論と主意主義の問題を打ち抜く鍵になるのだ!みたいな方面の議論は確かにラディカル。<有意味な反実仮想>が実証可能かという点についてはこれだけだとちょっとよく分からず、ミクロな権力観についてはフーコーとかの方が面白い気もするが、ともあれバランスがとれていて、かつラディカル。2013/04/16
じゅんすいむく
1
論点の○×の選択で勝るような権力、その論点のアジェンダ化すら妨げる権力。これに加えて筆者は権力を自然化して「真の利害」の表出すら妨げて隠ぺいするような第三の権力形態を提起する。「真の利害」とは、はたまた啓蒙的というか何ともアヤシイと疑ってしまうところではあるが、筆者はそれを「有意味な反実仮想」の理論から、困難ながら検証可能だと言う。教徒内で反発行動の例を挙げながら、ヒンドゥの教義は「権力」であると指摘する。なにが正しいかという議論において、極端な差異主義に陥らないための考え方の一つのツールになるだろう。2012/12/17
まっきaka谷林
0
「無意識、集合体あるいは制度といったレベルを権力論へと導入したから意義があるのではない」という解説の指摘は重要。全体的にとても示唆的。未訳ながら第二版が二倍くらいの分量になってるらしいので読みたい。2012/07/19