内容説明
その理論の並み外れた独創性。イタリア・ルネサンス期の巨人政治家の独創的な思想と人間について、現代有数の歴史学者が書き下ろした入門書。新しい視点でのマキアヴェッリ像。
目次
1 外交官(人文主義的背景;外交官としての使命 ほか)
2 君主への助言者(フィレンツェというコンテクスト;古典の遺産 ほか)
3 自由の哲学者(偉大さへ到達する手段;法とリーダーシップ ほか)
4 フィレンツェの歴史家(歴史の目的;フィレンツェの衰退と没落 ほか)
著者等紹介
塚田富治[ツカダトミハル]
1946年富山県生まれ。1974年東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程退学。1976年東京都立大学より法学博士号取得。一橋大学大学院言語社会学研究科教授。2001年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
書物復権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
masabi
11
【概要】共和主義者としてのマキアヴェッリに光を当てる。【メモ】父の蔵書、大学教育、後に人文学サークルの加入とマキアヴェッリは終生共和主義を信奉し続けた。著作の形式や過去を知れば未来を見通すと考える歴史認識に当時の共和主義者の思考が色濃く出ている。一方で、道徳的振る舞いこそが合理的とする発想を痛烈に批判し、君主や市民が持つべきなのは必要に迫られば悪徳を発揮できる道徳的柔軟性だとする。同じヴィルトゥでもその内容は正反対になっている。君主や指導者が目指す栄光がローマの如く偉大な繁栄であって、単なる私欲ではない。2021/10/30
馬咲
5
歴史的文脈=フィレンツェの窮状を踏まえつつ、有力者の統治術(その成功と失敗)を間近で観察した外交官時代や、人文主義サークルでの交流と古典研究といったマキアヴェッリの足跡を辿り、そこから『君主論』・『リウィウス論』・『フィレンツェ史』の執筆経緯と著作の固有性(問題設定及びテクストが語りかける対象の固有性)に焦点を当てていく。歴史に普遍的な教訓(解答)を求めるのではなく、各時代の問題の所在を正確に掘り下げ、その固有性を感知することを重視するスキナーの方法論は、古典を読む際の基本的態度として重要であると思う。2025/10/05
belier
2
君主論を読むのに知識を仕入れるため読んでみた。スキナーという人は政治思想史では著名な人のようなので選んだ。君主論以外のマキァヴェッリの著書についてもおおまか知識が得られてよかった。マキァヴェッリのよく言われる部分とは違うところをこの著作では見れたのだろうか。それを判断するには自分は知識が不足している。2017/03/05
ぽてと
1
マキアヴェッリ理解の基本文献と言われているのを知って読んでみたが、あまりにあっさりしすぎて物足りなさまで感じてしまう。入門書としては訳書ながらこれ以上のものはないだろう。マキアヴェッリはどうにも理想主義者な面も否めない気がするが、時流に沿いつつも主体的に運命を切り開き自由を追求する彼の思想は、我々の時代においてもよい道案内になりそうだ。2016/04/12
フォロスト
1
全部読んだわけではない。マキァヴェッリは色々と解釈があるが、その中でも共和主義者としてマキァヴェッリを解釈するスキナーの書。ちなみに、英米では共和主義的な解釈が主流(レオ・シュトラウス曰はく)。2015/01/15




