出版社内容情報
〔比較宗教類型論〕宗教現象の基礎構造を「聖」性のあらわれとして見、大地と女性、植物、農耕の信仰と儀礼を比較宗教学の立場から類型学的に解明しようとしたユニークな研究。
感想・レビュー
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てれまこし
4
文学的直感でもって未開と文明をつなぎ、民族学と民俗学の垣根を取っ払ったフレーザーは、まだ進化論的先入観に囚われていた。エリアーデは更にその向こうを行こうとする。より低い宗教形態とより高い宗教形態の区別はもはやない。呪術と宗教のはっきりした境界もない。マナもキリストの受肉も、高尚な教義も農民の卑俗な習俗も、すべて横並びである。そうやって並べることで、すべての宗教に共通の基盤が現れる。それは生命の発生・死滅・再生の循環からなる宇宙観である。自分が生気論的宇宙観と呼んだものが、宗教の母胎として再構成されている。2019/08/13