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出版社内容情報
ジョルジョ・アガンベン[ジョルジョ アガンベン]
著・文・その他
上村 忠男[ウエムラ タダオ]
翻訳
中村 勝己[ナカムラ カツミ]
翻訳
内容説明
「世界的内戦」下の現代にあって統治のパラダイムと化した「例外状態」。そのミニチュア・モデルを古代ローマにおけるユースティティウム=「法の停止」に求めつつ、法の空白をめぐるシュミット=ベンヤミンの戦いの意味を批判的に検討する。「ホモ・サケル」シリーズ第3弾。
目次
第1章 統治のパラダイムとしての例外状態
第2章 法律‐の‐力
第3章 ユースティティウム
第4章 空白をめぐる巨人族の戦い
第5章 祝祭・服喪・アノミー
第6章 権威と権限
著者等紹介
上村忠男[ウエムラタダオ]
1941年生まれ。東京外国語大学名誉教授。学問論・思想史専攻
中村勝己[ナカムラカツミ]
1963年生まれ。中央大学大学院法学研究科博士後期課程満期退学。政治学・イタリア政治思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
34
11
再読。2017/01/25
うえ
7
「例外状態と独裁を混同したということが限界」「ムッソリーニにしてもヒトラーにしても、法技術的には彼らを独裁者と定義することはできない。ムッソリーニは国王に任命された首相であったし、同様にヒトラーもヴァイマル共和国の正統な大統領から任命されたライヒの宰相であった…法学的観点からこのような体制を正当化するのには「独裁」の用語はまったくふさわしくないし、そのうえ、今日支配的となっている統治パラダイムの分析にとっても、民主主義・対・独裁という干からびた対立図式は道をまちがったものと言わざるをえない」2017/07/26
hitotoseno
7
『ホモ・サケル』で「例外状態」を人間そのものに存するクリティカル(危機的)な状態として捉えてアガンベンが、法学的な観点に絞って問題を掘り下げようとした、21世紀に刊行されたにもかかわらず既に古典になった感もある書物。なぜ「例外状態」を取り上げなければいけないかといえば9.11以降アメリカが「人類」の名の下で「敵」と見なした人々を「戒厳状態」を口実に人権を剥ぎ取って扱った時勢によるのだが、アガンベンは(なんせ彼はコソボの時点で「例外状態」に注目していたのだから)今に始まった話でないことを明らかにしていく。2016/06/02
田畑
7
例外状態が法の空白な空間を意味するのだとしても、シュミットのように法的秩序と関連付ける試みは重要だとおもいます。法の機能が停止してもなお、被統治者の人権が確保される理論を模索したいですね。2015/05/13
またの名
7
相変わらずの文献学的な参照先の膨大さと細密さのため不明瞭な文意。とはいえ、グアンタナモ収容所に具現した同時代の異常事態に反応して書かれた事実はもとよりAusnahmezustandの概念をファシズムに対する戦いのために持ち出したベンヤミン(歴史哲学テーゼ)とシュミットの間の議論からしても、人格由来の権威と法の一体化というそれっぽい反ファシズム論に着地するのは全然不自然じゃない。法の名において法の停止を宣告する矛盾したロジックが想定するアノミーは、所与ではなく遡及的に措定された前提(ジジェク)でしかない。2014/07/08
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