出版社内容情報
シカ、クマ、イノシシなどが、かつて絶滅が心配されていたことをご存じだろうか。エゾシカは「幻の動物」と言われ、ヒグマも地域個体群が絶滅に追い込まれようとしていた。それが今、郊外ではシカの飛び出しに注意し、森に入るときにはクマ鈴が欠かせない。
動物たちはなぜ絶滅しそうになったり、「増え過ぎ」たりするのだろうか。人間と野生動物の関わり合いの歴史を背景に、個体群生態学の基本的な考え方や発展の過程を見ていく。
【目次】
目次
第一章 動物は「増え過ぎ」なのだろうか(迫害の歴史;根絶から保全へ;今、私たちがいるところ)
第二章 個体数変動の「発見」(エルトンの冒険;理論と実証;マルサスの発見と成長の限界)
第三章 変動と持続性の秘密(オジロワシの増加と変動;環境変動に対抗する;平衡密度に戻ろうとする力 ほか)
第四章 絶滅に引きずり込まれる(密度依存性が効かない!;新しい生息地に定着するのは難しい;「絶滅の渦」から野生動物を救う ほか)
第五章 新しい社会に向かって(ヒトは劇的に変わる;集団の論理と個体の利益;出生率の低下が止まらない ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽてち
27
クマやらシカやらが人間界に入り込み様々な報道がなされている昨今、こうした事態の背景を考えるのに最適と思える本を見つけたので図書館で借りてみた。うーん、思っていたのと違う。タイトルに嘘はなくまさしく「科学」していて、門外漢にはやや敷居が高い。なんとか我慢しながら読み続けたが、最後は人の少子高齢化問題にまで行き着いてしまった。「おわりに」で「個体群生態学のことを中高生にもわかるように」と依頼されたことが明かされていて、なるほどと思った。期待した内容ではなかったが、動物の絶滅には興味があるので無駄ではなかった。2025/11/08
jackbdc
9
絶滅を危惧されていたはずの大型野生動物が近年農地を荒らしたり人里に押し寄せて騒動を巻き起こしている。クマの襲撃事件が頻発したのも記憶に新しい。どうしてこんな事が起こるのか?「個体群生態学」の力を借りて幾つかの仮設を導き出されるという入口の話が平易に綴られた本。正直な感想としては、なんか当たり前の話が続く。科学といって、これくらいの事しか分からないのか?という気持ちが半分。原理的に難しいのかって気付きが半分。そもそも生き物の行動原理自体が不可知性を帯びている。試験管の中じゃなく野生環境じゃ実験もままならぬ。2026/01/13
どん
3
食物連鎖の中で、捕食者が増えると被食者が減り、その結果捕食者が減るという関係がそんな簡単な話ではなかった。縄張りをベースとした、環境収容力があったり、攪乱があっり、個体数の増減で繁殖力も変わる。ただ、人新生で人類の傲慢な行動が多くの動植物の絶滅を引き起こしている。 高校生、大学一年生を対象に書かれた本とのことだが、興味深い話が沢山あった。2026/03/16
於千代
2
個体群生態学の入門書のような一冊。 人間が動物を絶滅させてきた歴史から、そこから一転して保全へと舵を切った背景、生物が絶滅を防ぐメカニズム、さらには人類の人口史まで、個体数の増減や絶滅をめぐるテーマが具体的な事例を交えつつ平易に説明されている。 個人的に印象的だったのは、ラットやマウス、モルモットが近親交配に比較的強いという点。これまで考えたことのなかった視点で、非常に興味深く読めた。2026/01/08
お抹茶
2
古代の人が環境への負荷を少なくなるように生活をコントロールしていたのではなく,力の限り自然を利用し,多くの生物が絶滅した。齢別繁殖率に齢別生存率を掛けた出生数を計算することで個体数の増減を知ることができる。個体群の個体数変動を幾何平均で考えると撹乱の効果は減少方向に偏る。密度が高くなった時に生存率,繁殖率が上がる。実際の保護策や人間にも言及し,生態学者としては,侵略的外来種の駆除への憐れみと生物多様性保全のための固有種保護なら,後者を選ぶという。グラフ化でできるだけ説明し,章末に少し数式で補足。2025/12/28




