出版社内容情報
山下徳治は、戦前の新教育運動や新興教育運動、戦後のスポーツ少年団運動など、日本の民間教育運動を指揮した人物である。彼は人間性の起源を問う発生論の立場から教育学を追求し、ペスタロッチやデューイに依拠して「生い立つ思想」や「造形(セルフデザイニング)論」を展開した。 鹿児島・台湾での教職経験から東京・成城小学校勤務を経て、ドイツ留学中には三木清と共にハイデガーらに従事し、訪ソの際にヴィゴツキーとも接見している。戦後はカール・ディームと親交するなど、その交流の豊かさは他に類を見ない。本書では、教育運動を牽引し、多くの戦後教育学の担い手を育てた山下の生涯に辿る。
内容説明
日本民間教育運動を牽引し、今につながる独自の教育理論を形成。
目次
序章 発達研究における発生論への着目
第1部 山下徳治における発生論の形成(鹿児島・台湾における訓導時代;成城小学校での教育の具体的展開;ドイツ・マールブルク大学における思索;ドイツからの帰国とソヴィエト訪問)
第2部 一九三〇年代の教育研究運動と教育計画(山下の新興教育構想;山下はなぜ「教化史」を書いたのか;学制改革論と児童学への期待)
第3部 戦後の研究とセルフデザイニング論の展開―スポーツ教育論を中心に(「ペスタロッチからデューイへ」という問題構制;生い立つ思想とセルフデザイニング論;未完の書「日本教育の再発見」へ)
終章 教育学と発生論的発達論