出版社内容情報
本書は、平安時代末の流行歌今様を出発点に、中世の人々と虫の関わりを追いかけ、小さな虫の世界から覗いた中世の風景のささやかであっても豊かな世界を切り取る。私たち現代人の持つ虫への思いは、過去とどのようにつながっているのか、さまざまな文学・芸能・信仰などに現れる虫の姿に導かれながらたどる新しい日本中世史。
内容説明
本書は、平安時代末の流行歌今様を出発点に、中世の人々と虫の関わりを追いかけ、小さな虫の世界から覗いた中世の風景のささやかであっても豊かな世界を切り取る。私たち現代人の持つ虫への思いは、過去とどのようにつながっているのか、さまざまな文学・芸能・信仰などに現れる虫の姿に導かれながらたどる新しい日本中世史。
目次
序 虫に対する嫌悪と愛着
第1章 中世芸能に舞う虫―蟷螂・蝸牛
第2章 中世の信仰と刺す虫―蜂・虱・百足・蚊
第3章 中国文芸と鳴く虫・跳ねる虫―機織虫・蟋蟀・稲子麿
第4章 王朝物語から軍記物語へ飛び交う虫―蝶・蛍
第5章 中世の子ども・武将・芸能者たちと遊ぶ虫―蜻蛉
第6章 中世の意匠と巣を編む虫―蜘蛛
第7章 中世人が聞いた秋に鳴く虫―松虫・鈴虫・轡虫
終 豊かなミクロコスモス
著者等紹介
植木朝子[ウエキトモコ]
1967年生まれ。1995年お茶の水女子大学大学院博士課程人間文化研究科単位取得満期退学。1998年博士(人文科学)(お茶の水女子大学)。現在、同志社大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
2
著者は『梁塵秘抄』の研究者。 『梁塵秘抄』には中世日本文学には珍しく、多数の虫が出てくるのだという。しかも、和歌に詠まれるような鳴虫・蛍だけではなく、カマキリ、カタツムリ、ショウリョウバッタ、シラミ、トンボなどもふくまれている。 それらがどのように描かれているかを入口として、中世のひとびとが虫たちへ向けた視線が解き明かされていく。多数の文献が渉猟され、広い視野のもとで手堅く確実に解釈が行われている。 ハチやクモについても。 ただ、あくまでも文学寄りの著作で、実物としての虫好きには物足りないかも。2021/04/13
げんさん
1
キリギリスを機織虫というのか。2021/07/26
神谷孝信
1
特に蝶の部分に関して読んだが、嘗ての日本人がどう考えているかを知る事ができた。32021/05/29