出版社内容情報
既成の平安朝文学像を一新
「書かれた物語」というパラドックスに肉薄…
エクリチュール一本で物語文学史を踏破する。
日本古典文学の原点である平安朝物語文学をどのように捉えればよいのか。物語があくまで口承性を標榜しているにもかかわらず、自らが「書かれた物語」として生成されているという現実を前にして、物語自身がどのような批評的スタンスをとっているのか。本書では、「物語の出で来はじめの祖」たる『竹取物語』を範としつつ、『源氏物語』から『狭衣物語』へと至る物語文学史の系譜において、このパラドックスの変容過程を解明する。
内容説明
日本古典文学の原点である平安朝物語文学をどのように捉えればよいのか。物語があくまで口承性を標榜しているにもかかわらず、自らが「書かれた物語」として生成されているという現実を前にして、物語自身がどのような批評的スタンスをとっているのか。本書では、「物語の出で来はじめの祖」たる『竹取物語』を範としつつ、『源氏物語』から『狭衣物語』へと至る物語文学史の系譜において、このパラドックスの変容過程を解明する。
目次
第1部 総説・平安朝物語文学とは何か(『竹取物語』=物語文学の範例;再び物語文学の範例『竹取物語』について;光源氏晩年物語から『狭衣物語』、そして『いはでしのぶ物語』;ジャック・デリダの「原エクリチュール」について)
第2部 光源氏晩年物語―エクリチュールの論理の擡頭と世界の解体(光源氏晩年物語入門―編年体というエクリチュール;女三の宮降嫁決定の論理―歴史的時空間の成立;源氏四十賀の記録というエクリチュール;明石一族の歴史の完成;女楽とエクリチュール―光源氏世界最後の光芒;晩年の紫の上;柏木対源氏―二つのエクリチュールの相克の物語;柏木の先例主義―二番煎じの「むかし男」;エクリチュールの人柏木の死とその遺産;女三の宮という不気味なるもの;アーキビストの夕霧;「幻」巻―エクリチュールの終焉とその残余)
第3部 『狭衣物語』―エクリチュールと語りの忘却(回想とエクリチュール;モノローグの物語構造;偽装の偽装 物語文学のための物語文学;再び物語冒頭部「少年の春は…」について)
著者等紹介
神田龍身[カンダタツミ]
1952年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程後期退学。早稲田大学高等学院教諭、亜細亜大学教養部助教授、静岡大学人文学部言語文化学科教授を経て、学習院大学文学部日本語日本文学科教授。研究テーマは、日本古典文学とエクリチュール(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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りょく
そーだ