出版社内容情報
臨床教育学の未完の「物語」とは。教育「問題」の周辺をさまよい続けた三十年を振り返り、現在の形と新たな展開を示す。日本で初めて京都大学で開講されてから三十年が経とうとしている現在、「臨床教育学」はどのように位置づけられ、展開しているのか。本書は、臨床教育学とは何かを問い続けてきた筆者の取り組みの過程と現状を振り返る、臨床教育学の未完の「物語」。臨床心理学の応用学ではない、教育の現場への還元が可能で、教育現象を意味づける、開講当時にめざしていた臨床教育学とは何かについて、その歩みを振り返り、問い直す。
はじめに
第1部 臨床教育学とは
第1章 臨床教育学の仮設と課題設定
1 臨床教育学という発想をめぐって
2 臨床教育学の方法論的課題
第2章 臨床教育学
1 「臨床教育学」の立場
2 臨床教育学の「臨床」の意味
3 臨床教育学の実践課題
4 隠喩と「問題」の意味理解
第3章 なぜ〈臨床〉教育学なのか――「問題」の所在と理解
1 臨床教育学の「臨床」
2 臨床教育学と人間形成論
第4章 臨床知のはたらき
1 臨床の知の所在と役割
2 教育のなかの教育――臨床教育学の試み
第5章 事例としての教育(学)言説――レトリック構造を探る
1 下程勇吉の二宮尊徳論とその人間学的方法
2 小原國芳「全人教育」論のスタイルを探る――教育言説の解釈臨床
3 教育基本法のレトリック
第6章 教育と仏教の関係試論――臨床教育学の立場から
1 宗教と教育の「関係」の意味論
2 「こころ/心」の変換システムとしての「仏説」
第2部 臨床教育学の展開
第7章 臨床教育学からみたランゲフェルト教育学
第8章 臨床教育学「と」教育哲学
1 臨床教育学の方法論または“目に入ったゴミ”
2 教育哲学と「教育・・・」
第9章 「未全」態としての教育言説
1 「テキスト」としての教育現場
2 「教育的なもの」(一般)と「教育問題」(特殊)の意味論
第10章 新しい教育言説をたずねて
1 「様態的差異」論
2 臨床教育学「断片」
あとがき
人名索引/事項索引
皇 紀夫[スメラギ ノリオ]
著・文・その他
内容説明
臨床教育学の未完の「物語」―教育「問題」の周辺をさまよい続けた三十年を振り返り、現在の形と新たな展開を示す。
目次
第1部 臨床教育学とは(臨床教育学の仮設と課題設定;臨床教育学;なぜ“臨床”教育学なのか―「問題」の所在と理解;臨床知のはたらき;事例としての教育(学)言説―レトリック構造を探る
教育と仏教の関係試論―臨床教育学の立場から)
第2部 臨床教育学の展開(臨床教育学からみたランゲフェルト教育学;臨床教育学「と」教育哲学;「未全」態としての教育言説;新しい教育言説をたずねて)
著者等紹介
皇紀夫[スメラギノリオ]
1940年滋賀県生まれ。京都大学教育学部大学院博士課程中退。滋賀県立大津高等学校(定時制)教諭、京都女子大学教授、京都大学大学院教育学研究科教授、大谷大学教授、を歴任。現在、京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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