内容説明
唐木順三(一九〇四~八〇)評論家、編集者。同窓の古田晁、臼井吉見と筑摩書房を創業、哲学書や雑誌『展望』の編集で昭和の知的世界に足跡を残す一方、教育者として、また『無常』などの著者として知られる。この思索する人(デンカー)の内実を全的に追う。
目次
第1章 信州伊那・宮田村
第2章 松本、青春のとき
第3章 師・西田幾多郎―京都時代
第4章 信州教育との出会い―上諏訪時代
第5章 「赤化」をめぐって―満州、そして失業時代
第6章 「友人共同体」の出発
第7章 飛躍する論壇人
第8章 思索者の円熟
著者等紹介
澤村修治[サワムラシュウジ]
1960年東京都生まれ。1983年千葉大学人文学部卒業。現在、文芸評論家、帝京大学文学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tamami
42
唐木先生の名前を知ったのは、筑摩書房の今は無い雑誌『展望』か何かの誌上が始まりだったろう。薄れた記憶の中で、先年偶々『ミネルヴァ日本評伝選』シリーズに先生の名前を見つけ、少々意外な思いで本書を手にした。郷土の先達として著作に多少ふれるだけであった先生の事績について、迂闊にも本書を読むまで知らないことばかりで、自分に直接関わる同好の会や先輩の事なども記されていて、収穫の多い読書となった。本書には、先生の幼少時代の生活の頃から、旧制松本中学校、松本高等学校を経て西田幾多郎を師とした青年期、大学卒業後の様々な→2021/04/13
無意味への献身
1
唐木順三って相当なインテリなんだけど、どこか野育ちの土くさい感じを纏い続けたところが好きだ。このミネルヴァの評伝シリーズは結構玉石混淆しているけど、沢村氏のこの書はとても面白くて読みごたえがする。教師、編集者、そして「デンカー」という複数の顔を持った唐木の風貌がいきいきと甦り、その多彩な交遊関係も横糸のように唐木の生涯を彩る。「あめつちとともに」という言葉に籠められた唐木の願いを丹念にすくいとるラストは何度も読んだ。
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