出版社内容情報
国際関係論・国際政治学を中核とした最新の理論的知見と多様な事例研究を用いて、複雑化する国際秩序の実態を解明する複雑で複合的な現代の国際関係の実相を的確に捉えるにはどうすればよいか。本書は、国際関係論・国際政治学を中核とした最新の理論的知見と多様な事例研究を用いて、この問いに多角的に答えようとするものである。とりわけ、コンストラクティヴィズム(構成主義)の系譜を継承しながら、複雑化する国際秩序の実態を、規範の観点からより多面的かつ体系的に捉える視座を提供することを目的とする。
はしがき
序 章 国際規範とグローバル・ガバナンスの複合的発展過程(西谷真規子)
1 グローバル・ガバナンスの複合性
2 理論的背景
3 本書の特徴――基本概念と研究課題
4 各章の概要
第?部 規範形成・伝播の複合過程
第1章 「企業と人権」をめぐる多中心的なガバナンスの試み――ステークホルダー間の知識共有と人権デュー・ディリジェンス規範の形成(山田高敬)
1 企業と人権
2 多国籍企業に対する国際的な規制の歴史
3 ラギー・フレームワークおよび指導原則の特徴と意義
4 異なるレベルのガバナンスへの影響
5 規範的脚本の形成に貢献した要因
6 分断的かつ対立的な多中心的ガバナンスを超えて
第2章 武器貿易条約に見る規範の競合と並存――規範をめぐる合意形成の力学(石垣友明)
1 武器貿易条約の特徴と検討の意義
2 通常兵器の移転規制に関する国際ルールの発展
3 ATTに内包された主要な規範群と各国の立場
4 ATT交渉における規範群の競合・並存と合意形成のプロセス
5 分析――ATT成立に際しての規範群の取捨選択
6 規範成立のダイナミズムと実施をめぐる課題
第3章 紛争予防規範と平和構築規範の複合と交錯――国連におけるマルチステークホルダー・プロセスの生成過程を例として(庄司真理子)
1 冷戦後の紛争予防・平和構築規範
2 国連規範の視座とMSP
3 21世紀初頭における紛争予防概念の進展
4 2005年世界サミット期の平和構築と紛争予防
5 潘基文事務総長第1期の紛争予防と平和構築
6 潘事務総長第2期の平和構築と紛争予防
7 MSPと紛争予防・平和構築規範
第4章 日本の「抑制された再軍備」の形成過程――規範の競合という観点から(杉田米行)
1 規範の競合と「抑制された再軍備」
2 日本再軍備に関する学説と本章の位置づけ
3 民主主義
4 経済的規範――自由主義的資本主義体制の確立
5 朝鮮戦争の影響
6 日米経済協力の幻想
7 「抑制された再軍備」
第5章 グローバル開発ガバナンスの実現――UNDCFとGPEDC間の調整をめぐって(大平 剛)
1 新興国の台頭と変容する開発援助分野の様相
2 レジームの萌芽となる2つのフォーラムの競合
3 2つのフォーラムについての理論的考察
4 対抗レジーム回避のための東アジア3カ国の役割
第?部 規範履行の複合過程
1 多中心的グローバル・ガバナンスにおける規範発展の課題
2 オーケストレーション――非強制的で間接的なガバナンス様式
3 多中心的ガバナンス下のオーケストレーション・モデル
4 腐敗防止グローバル・ガバナンスの特徴と課題
5 UNODCによるオーケストレーションの条件
6 UNODCによる腐敗防止オーケストレーション
7 規範の履行促進のための国際機関の役割
第7章 内面化という虚構――国際規範の法制度化と実効性(小川裕子)
1 内面化への疑義
2 内面化の非妥当性
3 実効性を生む制度進化
4 制度進化の政治過程
5 実効性の増大に向けて
第8 章 規範媒介者としてのNGO――アドボカシー・ポリティクスの理論と実践(高橋良輔)
1 「政治」としてのアドボカシー
2 国境を越える公共圏の虚と実
3 国内政治との再節合
4 日本における政府――NGO関係の史的展開
5 援助規範と国益の相克
6 グレート・ディヴァイドを越えて
第9章 規範パワーEU持続性――政治の意思を支える制度の反復的実践(臼井陽一郎)
1 規範パワー論と国際規範研究の密な関係
2 規範パワーとは――EUのアイデンティティをつかむ
3 EUの政治とは――2つのEUとユーロリーガリズム
4 EUの対外行動――一見“変わらない”規範志向性
5 イデオロギー批判へ
あとがき
人名索引
事項索引
西谷 真規子[ニシタニ マキコ]
2017年3月現在 神戸大学国際協力研究科准教授。国際関係論専攻。
内容説明
複雑で複合的な現代の国際規範の実相を的確に捉えるにはどうすればよいか。本書は、国際関係論の最新の理論的知見と多様な事例研究を用いて、この問いに多角的に答えようとするものである。とりわけ、コンストラクティヴィズム(構成主義)とグローバル・ガバナンス論を継承しながら、複雑化する国際秩序の実態を、規範の観点からより多面的に捉える視座を提供することを目的とする。
目次
国際規範とグローバル・ガバナンスの複合的発展過程
第1部 規範形成・伝播の複合過程(「企業と人権」をめぐる多中心的なガバナンスの試み―ステークホルダー間の知識共有と人権デュー・ディリジェンス規範の形成;武器貿易条約に見る規範の競合と並存―規範をめぐる合意形成の力学;紛争予防規範と平和構築規範の複合と交錯―国連におけるマルチステークホルダー・プロセスの生成過程を例として;日本の「抑制された再軍備」の形成過程―規範の競合という観点から;グローバル開発ガバナンスの実現―UNDCFとGPEDC間の調整をめぐって)
第2部 規範履行の複合過程(多中心的ガバナンスにおけるオーケストレーション―腐敗防止規範をめぐる国際機関の役割;内面化という虚構―国際規範の法制度化と実効性;規範媒介者としてのNGO―アドボカシー・ポリティクスの理論と実践;規範パワーEUの持続性―政治の意思を支える制度の反復的実践)
著者等紹介
西谷真規子[ニシタニマキコ]
1998年東京大学法学政治学研究科博士前期課程修了。東京大学助手。現在、神戸大学国際協力研究科准教授。国際関係論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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