出版社内容情報
子育て・就職活動・移民・災害復興・環境保護 ――様々な事例を踏まえ、互酬性に基づく人々の行為・関係に及ぼす影響を分析。本書は、社会学のさまざまな領域でソーシャル・キャピタル研究をリードしている論考を収載したものである。家庭内の親子関係・就職活動・移民・災害復興・環境ガバナンス等の多様な事例を基に、社会ネットワークと行為者の関係を分析。
「叢書ソーシャル・キャピタル」刊行にあたって
まえがき
序 章 社会学におけるソーシャル・キャピタル(佐藤嘉倫)
1 社会学とソーシャル・キャピタル
2 3つのリサーチ・クエスチョン──ソーシャル・キャピタルをめぐって
3 ソーシャル・キャピタルのミクロ-マクロ分析
第?部 社会秩序・信頼・関係──ソーシャル・キャピタル研究の基礎
第1章 社会秩序とソーシャル・キャピタル(瀧川裕貴)
1 集合的ソーシャル・キャピタルへの懐疑?
2 ソーシャル・キャピタルの関係論的概念化
3 関係の構造
4 地位達成モデルとミクロなソーシャル・キャピタル
5 パットナムの集合的ソーシャル・キャピタル論と「多様性」論文
6 新たな研究プログラムの定式化に向けて
第2章 信頼のレベルと信頼の範囲(小藪明生)
1 信頼に関する議論の重要性
2 高信頼者の特徴──向社会性と異質な他者への寛容性
3 信頼と集団の特性
4 信頼のレベルと範囲
5 量的調査による「信頼の範囲」の分析
6 信頼のレベル変数と範囲変数による比較──分析結果
7 信頼の範囲の広がり方
8 理論と指標の往復,日本の実情に合った調査方法の確立──今後の課題
第3章 人間関係の変容と孤立(石田光規)
1 孤立者のソーシャル・キャピタル
2 迫り来る孤立の恐怖
3 孤立の実情
4 孤立を防ぐ関係群
5 関係性の問題
第?部 社会の諸領域におけるソーシャル・キャピタル
第4章 親子のかかわり方と学業成績──家庭内ソーシャル・キャピタルの教育効果(香川めい)
1 なぜソーシャル・キャピタルに教育効果があるのか
2 家庭内ソーシャル・キャピタルのとらえ方
3 子どもの成長と親子のかかわり方
4 親子間の信頼関係を促進する要因
5 家庭内ソーシャル・キャピタルと子どもの成績の関係
6 家庭内ソーシャル・キャピタルの持つ効果──どのようなかかわり方がよいのか
第5章 家族構造が子どもに及ぼすインパクト──家族構造・ソーシャル・キャピタルと中学生の成績/自己肯定感との関連(西村純子)
1 家族構造が子どもに及ぼすインパクト──ソーシャル・キャピタルからの説明の可能性
2 家族研究とソーシャル・キャピタル概念──導入する意義
3 ソーシャル・キャピタルの子どもへのインパクト
4 家族構造の子どもへのインパクト
5 本章の問い──家族構造・ソーシャル・キャピタルの子どもへのインパクト
6 「親と子の生活意識に関する調査,2011」──分析対象および変数の説明
7 家族構造・ソーシャル・キャピタルの中学生の成績および自己肯定感との関連
8 家族構造が子どもにインパクトを及ぼすメカニズム
第6章 就職活動で縁故は役立つのか──職業達成とソーシャル・キャピタル(小林 盾)
1 職業達成におけるソーシャル・キャピタル
2 教育・縁故と職業達成の関係──アメリカと日本の事例から
3 社会階層と社会移動全国調査
4 入職経路によって職業達成は異なるのか
5 教育との相乗効果はあるのか
6 セーフティネットとしてのソーシャル・キャピタル
第7章 移民受け入れの制度的文脈と人間関係──日系ブラジル人の事例から(竹ノ下弘久)
1 ソーシャル・キャピタルと移民
2 移住先社会への適応とソーシャル・キャピタル
3 日本における移民受け入れの制度的文脈
4 ソーシャル・キャピタルと制度的な埋め込み
5 質問紙調査を用いた転職・精神的健康の把握
6 日系ブラジル人と結束型ソーシャル・キャピタル
7 転職とメンタル・ヘルスへの影響
8 移民のソーシャル・キャピタルと社会的文脈の重要性
第8章 災害からの復旧・復興と地域コミュニティ──新潟県中越地震の事例から(辻 竜平)
1 震災研究をめぐる問題と新潟県中越地震の位置づけ
2 (旧)栃尾市における震災前後のパネル調査
3 地域コミュニティの状態が地震発生時とその後の地域コミュニティでの取り組みに及ぼす効果
4 地域コミュニティの状態が復旧・復興にともなうさまざまな変化に及ぼす効果
5 中越地震における地域コミュニティの状態と効果からみる実践的対応と研究課題
第9章 環境ガバナンスとソーシャル・キャピタル──大野川流域の事例から(帯谷博明)
1 環境ガバナンスの時代とソーシャル・キャピタル
2 日本における河川政策と市民セクターの変化
3 大野川流域の市民セクターの展開──その活動と盛衰
4 ソーシャル・キャピタルからみる環境ガバナンスの動態
第10章 社会運動研究の豊饒化──ソーシャル・キャピタル概念を用いた試み(野宮大志郎・片野洋平)
1 ソーシャル・キャピタル概念が拓く領野と可能性
2 ソーシャル・キャピタルの概念化──その多極性
3 ソーシャル・キャピタルと社会運動研究──その結節点
4 社会運動から見たソーシャル・キャピタルの問題点
5 新しい社会運動研究に向けて
終 章 ソーシャル・キャピタルの生成過程に関する試論(佐藤嘉倫)
1 ソーシャル・キャピタルの生成過程研究の難しさ
2 非意図的なソーシャル・キャピタルの生成過程
3 意図的なソーシャル・キャピタルの生成過程
4 利他的利己主義と互酬性の重要性
5 現代社会における互酬性の確保に向けて
索 引
佐藤 嘉倫[サトウ ヨシミチ]
編集
内容説明
子育て・就職活動・移民・災害復興・環境保護。様々な事例を踏まえ、互酬性に基づく人々の行為・関係に及ぼす影響を分析。
目次
社会学におけるソーシャル・キャピタル
第1部 社会秩序・信頼・関係―ソーシャル・キャピタル研究の基礎(社会秩序とソーシャル・キャピタル;信頼のレベルと信頼の範囲;人間関係の変容と孤立)
第2部 社会の諸領域におけるソーシャル・キャピタル(親子のかかわり方と学業成績―家庭内ソーシャル・キャピタルの教育効果;家族構造が子どもに及ぼすインパクト―家族構造・ソーシャル・キャピタルと中学生の成績/自己肯定感との関連;就職活動で縁故は役立つのか―職業達成とソーシャル・キャピタル;移民受け入れの制度的文脈と人間関係―日系ブラジル人の事例から;災害からの復旧・復興と地域コミュニティ―新潟県中越地震の事例から;環境ガバナンスとソーシャル・キャピタル―大野川流域の事例から;社会運動研究の豊饒化―ソーシャル・キャピタル概念を用いた試み)
ソーシャル・キャピタルの生成過程に関する試論
著者等紹介
佐藤嘉倫[サトウヨシミチ]
1957年東京都生まれ。1987年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学、博士(文学)。東北大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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