出版社内容情報
地の果て、海の果てへ。中世の女巡礼者、クック船長、イザベラ・バード……旅とともに生まれた未知の探究の記録を読み解く。島国に住むイギリス人は昔から海を渡り旅に出た。命の危険も顧みず、中世ではエルサレムの聖地巡礼に出掛け、大航海時代に入ると、帆船を繰り、競うように世界の果てに向かった。
旅とともに生まれた未知の探究の記録〈トラヴェルライティング〉は、文学の新ジャンルとして近年脚光を浴びている。本書は、十数名のトラヴェラーの足跡を記したトラヴェルライティングを読み解くことで、イギリスの文化と歴史の位相を浮かび上がらせる大胆な試み。
序 章 冒険・蒐集・帝国(窪田憲子)
――英国トラヴェルライティングの諸相
第?部 拡張/反転する世界
第1章 あれは幻の南方大陸か?(大田信良)
――ジェイムズ・クックの航海日誌
1 拡張するヨーロッパ世界と航海家クック
2 近代国民国家の形成とクックの諸航海
3 オランダ・サイクルからイギリス・サイクルへの移行
4 航海日誌、あるいは文化研究の更新?
第2章 プラントハンターの旅行記(青木 剛)
――ロバート・フォーチュン、紅茶の苗を求めて中国を行く
1 〈未知の地〉へ乗り込むプラントハンター
2 トラヴェルライティングの実用性
3 一般読者向けのトラヴェルライティング
第3章 インド大反乱を見たメンサーヒブたち(大平栄子)
――ルース・クープランドの滞在記
1 牧師の妻が遭遇したインドの大反乱
2 大反乱についての歴史家たちの見解
3 クープランドの滞在記
4 ファニー・ドゥーベリーの体験記
5 トラウマと神話創設
第4章 異郷に故郷を重ねて(松井優子)
――スコットランドと旅のレトリック
1 スコットランド発トラヴェルライティング
2 高地旅行記の内と外
3 『ブラックウッズ』誌と旅の物語
第5章 インドへの愛憎と帝国主義批判(木下 卓)
――V・S・ナイポールのトラヴェルライティング
1 カリブ海への旅
2 インドへの旅
3 イスラム圏への旅
第?部 自然の〈発見〉
第6章 絶壁に立つ(久守和子)
――アルプス越えと〈崇高〉の誕生
1 ジョン・デニスのエグベレット山登攀体験
2 モンスニ峠を越え、谷底へ
3 牧歌的風景と自然の脅威
4 ホレス・ウォルポールの旅みやげ
5 トマス・グレイの旅と、その後
第7章 極地をめざす旅(武井博美)
――『フランケンシュタイン』から辿る探検家たちの栄光と挫折
1 北へ南へ
2 フィクションの題材となる極地探検
3 栄光の代償
第8章 ナイルの水源を求めて(岡倉登志)
――リヴィングストン博士の奥地探検を中心に
1 アフリカ探検とは
2 南アフリカにおける伝道と踏査の旅
3 ナイル水源探求の旅
4 第三期アフリカ遠征(1866―73年)
第?部 異文化との遭遇
第9章 泣きわめく中世の女巡礼者(伊達恵理)
――マージェリー・ケンプ、聖地への旅
1 ケンプ、波乱の半生とその伝記
2 エルサレム・ローマ巡礼
3 サンティアゴ・デ・コンポステラへの巡礼と異端審問
4 ドイツへの旅
5 聖俗の間を旅する
第10章 「マホメットの楽園」を旅して(志渡岡理恵)
――メアリ・モンタギュとトルコの女性たち
1 メアリ・モンタギュという女性
2 古典、駆落ち、種痘
3 後宮とモスリン
第11章 アルフレッド・イーストと明治日本の出会い(中川僚子)
――ある風景画家の旅日記から
1 風景画家、日記作者として
2 旅の道連れ――リバティ、ホーム、側仕え兼料理人ヨシ
3 半裸の人々と奥日光の天使
第12章 ヴィクトリアンの日本見たまま(窪田憲子)
――イザベラ・バード『日本奥地紀行』を読む
1 ヴィクトリア時代の数奇な旅人生
2 プロのトラヴェルライターとして
3 明治初期の日本に分け入ったバード
4 ヴィクトリアンが日本を見ると
索 引
窪田 憲子[クボタ ノリコ]
2016年8月現在大妻女子大学短期大学部教授
木下 卓[キノシタ タカシ]
愛媛大学名誉教授
久守 和子[ヒサモリ カズコ]
フェリス女学院大学名誉教授
内容説明
島国に住むイギリス人は昔から海を渡り旅に出た。命の危険も顧みず、中世ではエルサレムの聖地巡礼に出掛け、大航海時代に入ると、帆船を繰り、競うように世界の果てに向かった。旅とともに生まれた、未知の探究の記録“トラヴェルライティング”は、文学の新ジャンルとして近年脚光を浴びている。本書は、十数名のトラヴェラーの足跡を記したトラヴェルライティングを読み解くことで、イギリスの文化と歴史の位相を浮かび上がらせる大胆な試み。
目次
第1部 拡張/反転する世界(あれは幻の南方大陸か?―ジェイムズ・クックの航海日誌;プラントハンターの旅行記―ロバート・フォーチュン、紅茶の苗を求めて中国を行く;インド大反乱を見たメンサーヒブたち―ルース・クープランドの滞在記 ほか)
第2部 自然の“発見”(絶壁に立つ―アルプス越えと“崇高”の誕生;極地をめざす旅―『フランケンシュタイン』から辿る探検家たちの栄光と挫折;ナイルの水源を求めて―リヴィングストン博士の奥地探検を中心に)
第3部 異文化との遭遇(泣きわめく中世の女巡礼者―マージェリー・ケンプ、聖地への旅;「マホメットの楽園」を旅して―メアリ・モンタギュとトルコの女性たち;アルフレッド・イーストと明治日本の出会い―ある風景画家の旅日記から ほか)
著者等紹介
窪田憲子[クボタノリコ]
大妻女子大学短期大学部教授
木下卓[キノシタタカシ]
愛媛大学名誉教授
久守和子[ヒサモリカズコ]
フェリス女学院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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