内容説明
日本において、これまで国際政治理論研究と日本外交史研究は潜在的な緊張関係にあった。こうした理論と実証の対立を乗り越え、日本外交研究がさらなる発展を遂げ、同時に世界レベルで展開する国際政治学の発展に貢献していく道筋を示すことが現在強く求められている。本書ではそのための鍵となる社会科学方法論を解説したうえで、両者を統合する「日本外交の理論的研究」の姿をケーススタディを行いながら描き出す。
目次
理論と実証の対立から統合へ
第1部 分析枠組み―理論的研究の構造と特質(理論的研究の要請;定性的分析の方法)
第2部 国際政治理論を使った日本外交研究(マルチラテラリズム概念と初期ARF外交;ポストクラシカル・リアリズムと吉田路線;「脅威の均衡」説と近代日本の同盟締結)
第3部 国際政治理論のための日本外交研究(「現実主義対構成主義」論争の概略;「防衛計画の大綱」の分析)
日本外交の理論的研究の展望
著者等紹介
川崎剛[カワサキツヨシ]
1961年京都府生まれ。1984年同志社大学法学部卒業。1993年プリンストン大学大学院にてPh.D取得(政治学)。その後、サイモン・フレーザー大学政治学部助教授を経て、同大学政治学部准教授。Pacific Affairs,International Relations of the Asia‐Pacific編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Studies
3
何度読んでもよい。2016/12/02
Tatsuhiko
2
「日本外交の理論的研究」をテーマとした本書は、社会科学方法論を接着剤として、伝統的に距離のあった国際政治理論研究と日本外交研究を繋ぎ、「国際政治理論を使った日本外交研究」と「国際政治理論のための日本外交研究」を促すことを狙いとしている。僕は海外大学で国際関係学を修めたが、研究で日本外交を扱ったので、修論を書く前に読んだらためになっただろうと思った。利用されている国際政治理論のヴァリエーションはやや少ないかなとも思うが、ケーススタディはそれぞれヴォリュームがあって読み応えもあった。2015/12/25
たけふじ
2
理論研究と日本外交史研究について、「国際政治理論を使った日本外交研究」と「日本外交を使った国際政治理論研究」という観点からその双方向性について述べる。筆者は「これまで日本外交研究と理論研究は対立していた」としており、二者が車の両輪であることを示すのが本書の役割であるといえる。理論を事例にどのように絡ませるか、あるいは歴史的事実をどのように理論に当てはめるか、方法論を示しながら書いている。書き方は難しいが、学部レベルでも読める内容になっている。2015/12/09
Studies
2
良書2015/10/24
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