内容説明
「もったいない」は戦時用語だった?ごみ処理の歩みから、日本の知られざる一面がみえてくる。開国から敗戦に至る近代史を、歴史の裏通りから読み解く。
目次
第1章 ごみ収益の奪い合い―開港と混迷の時代
第2章 衛生へのめざめ―コレラ禍と松方デフレ
第3章 たくましき明治の企業家たち―リサイクル業の盛衰
第4章 ごみが「廃棄物」になった日―汚物掃除法とその後
第5章 与謝野晶子、廃物利用ブームを叱る―「勤倹」と女子教育
第6章 成金景気、リサイクルが多様化―第一次世界大戦の余波
第7章 ごみとはいえぬが廃棄物?―震災ガレキ、公害、屎尿
第8章 新しい「廃品回収」参入者―そして昭和戦時下へ
第9章 「決戦だ、残らず出そう鉄と銅」―戦局の悪化と銃後の苦闘
第10章 衛生処理の敗戦―焼跡にごみと屎尿が捨てられて
著者等紹介
稲村光郎[イナムラミツオ]
1941年生まれ。1968年北海道大学大学院工学研究科修士課程修了(衛生工学)。東京都(清掃局・下水道局・環境局)、(株)タクマを経て現在、稲村技術士事務所代表。廃棄物資源循環学会ごみ文化歴史研究部会会員。廃棄物処理施設技術管理協会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
31
残飯屋が繁盛(40頁~)。八品商とは、江戸時代には質屋や古物商など8業種を指していたが、多数の業種が八品商とされたという(41頁)。1883(明治16)年になると、あらたに太政官から「古物商取締条約」が布告された。古物商の定義:古道具、古本、古書画、古着、古銅鉄、潰し金銀を売買する営業者(42頁)。1888年には、警視総監名で紙屑買いと紙屑拾い、下足直しの取締規則が出て、警察署の検印入りの標札表示を義務付けた(同頁~)。2015/10/31
てくてく
6
ごみが肥料やたきつけとして価値があった時代、日本の繊維・製紙に関する当時の技術では使いようがないものが西欧社会では価値があり高値で取引された時代、ごみが衛生対策の対象になった時代、そして公害を引き起こす産業廃棄物の対処が迫られた時代など、江戸から第二次世界大戦までの日本人のごみのつきあいかたについて綴られていて面白かった。何を言えば、トリビアの塊っぽいところか。あと、古物商と犯罪とのつながりに対する警察の見方を批判しているような記述をされているがそれは、職業に対する蔑視とはやや異なるのではないかと思った。2015/10/12
ハパナ
3
副題の通り、まさしく衛生・勤倹・リサイクルからみる日本の近代史といった内容です。 時代によって資源として需要のあるゴミは移り変わって行きますが、通史で見ると需要と供給の関係が自然の生態系サイクルの様で面白い。 あと、取材がかなり綿密にされていて、各章末の参考文献がとても多い。 しかも該当ページの頁数も書かれているのには驚きました。2015/09/15
miharasi_mamiya
2
ゴミの近代史。江戸幕府が開港した後から第二次大戦後までのゴミ事情。コラムと年譜がある。第一次大戦中ヨーロッパからの輸出が途絶えて日本の国内産業事情が変わりそれに伴ってゴミ事情も変わるという流れが興味深かった。2016/10/21
Minamihama
2
When I started reading the book I was surprised to learn that Japanese people were exporting used cotton clothes. In 1961, harbors opened that were used to export these rags. How then was the garbage used in European countries? They were used as materia2015/08/23