内容説明
近年日本では、世界の中でも自殺率の高い状態が定着しつつあり、社会問題となっている。そのような時代の中にあって、自殺問題とどのように向き合っていけばよいのか。本書では、遺族や自殺予防の臨床現場で働く専門職、スピリチュアリティといった様々な視点から、自殺問題を取り巻く「弱さ」に目を向ける。それぞれが抱く「弱さ」をみつめ、自殺予防も含めた「ケア」について、各分野の研究者がそれぞれの立場から迫る、画期的な一冊。
目次
第1部 自死遺族当事者と「弱さ」へのまなざし(父を自殺で亡くして―「普通の家族」を手放し、「弱さ」を受け入れるまで;グリーフを抱えて生きる―「弱さ」を出せる「強さ」)
第2部 自死遺族が抱える「弱さ」へのまなざし(多重喪失体験からみた「強さ」と「弱さ」;自死遺族にふりかかる困難と支援上の留意点)
第3部 自殺に向き合う援助者と「弱さ」へのまなざし(自殺に向き合うソーシャルワーク;援助者が自殺で患者を喪うということ ほか)
第4部 社会における「弱さ」へのまなざし(大学生の自殺にみる「弱さ」と「強さ」;「アルコールとうつ・自殺 死のトライアングル」にみる「語り」)
第5部 スピリチュアリティと「弱さ」へのまなざし(スピリチュアルペインと創造的弱さ;キリスト教にみる自殺予防対策の可能性)
著者等紹介
木原活信[キハラカツノブ]
同志社大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(社会福祉学)。社会福祉士。NTT東海カウンセラー、県立広島女子大学専任講師、東京都立大学助教授、トロント大学客員研究員を経て現職。社会福祉法人京都基督教福祉会理事。現在、同志社大学社会学部教授。主著『J・アダムズの社会福祉実践思想の研究』川島書店、1998年(福武直賞受賞)
引土絵未[ヒキツチエミ]
精神科ソーシャルワーカーを経て、首都大学東京大学院社会科学研究科博士前期課程、同志社大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会福祉学)。精神保健福祉士。社会福祉士。同志社大学嘱託講師を経て現職。現在、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部外来研究員(日本学術振興会特別研究員RPD)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
- 評価