内容説明
東西ドイツが統一されて25年。ドイツ文化を知る必携の一冊。ビール、クリスマス、啓蒙、ナチズムetc.いまのドイツを入り口に、多彩な文化の相貌が浮かびあがる。
目次
第1章 “ドイツ”とは―アイデンティティと多様性
第2章 社会制度―変わるもの、変わらないもの
第3章 記憶と記録
第4章 ことばと思考
第5章 メディアと技芸(クンスト)
第6章 暮らしと文化
著者等紹介
宮田眞治[ミヤタシンジ]
東京大学准教授
畠山寛[ハタケヤマヒロシ]
聖心女子大学専任講師
濱中春[ハマナカハル]
法政大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoneyama
8
38人のドイツ研究者によるテーマごとの文集。やや教科書的(授業っぽい)話の人もいるけど上手い人もいて、興味深いキーワードから、つい読み進める。内容は濃い。 「過去の克服」自国の犯罪的な過去を批判的に想起することを、今のドイツは努めている。その歩みははじめからではなく、1969年の学生運動で大きく変わったという。周辺諸国からの信頼を勝ち取った流れを知る。 「オスタルギー」旧東ドイツが統一後にどう動いてきたかを興味深く読んだ。映画演劇、文芸などのテーマも面白い。2021/08/26
tieckP(ティークP)
5
ページ数は実質250頁程度だが、かなり重厚な本。類書には明石書店の「○○を知るための」というシリーズがあるが、あれより執筆者の人数もおそらく多く、文学・文化研究者たちが本当に自分の得意なことについて4頁の制約に挑戦して書いたコラムの集合という感じ。人数が多いだけに玉に交じって石もなくはなく、またドイツにとって重要な事柄を上から55個集めたならこれは入らないだろう、というかなり特殊な題材について書いたものもあるが、後者はそれでも書くだけあって知識としてはハイレベル。この知識の重たさ、なるほどドイツらしい。2017/05/07
たか
2
ドイツに二年半暮らしていても、教科書で勉強するような歴史以外あんまりドイツのことを知らないなあと思って、帰国したときに買ってそれから一日一章ずつ読んだ。 オスタルギーやクラインガルテンは生活していてなんとなく目にするけれど、それがどういう文化的背景を持っているかは知らなかったから、そういうちょっとニッチなところまでテーマにしてくれていて満足度の高い本だった。これからドイツに移住する人にはおすすめできる。 2021/04/01
marukuso
2
1コラム4ページと読みやすかった。ドイツの歴史から生活面までと幅広く収録されている。中でも印象的だったのは、ヒトラーの像の捉え直しだろうか。笑顔の写真を見ると同じ人間だったのだと改めて実感する。またドイツ人はビールはイコール水なのだとか。1人年間100リットル以上飲むとか飲みすぎだろ。勉強目的でも旅行目的でも読める本である。2015/08/04
たろーたん
1
この本では、ドイツ人のメンタリティとして、矛盾する二つの魂があると表現されている。例えば、無機質なアウトバーンが景観に配慮してデザインされていたり、近代文明に対する批判から自然療法が生み出されたり、エコロジーがファシズム的暗部を内包しつつ極めて非学問的な優生学と結びついたり、合理的なドイツ精神を持ちながら、南国イタリアの官能性に憧れたりと、内と外、秩序と混沌、理念と現実など、様々な二項対立を心の中に持っている。(続)2023/10/08