内容説明
EUで存在感を強め、脱原発へと舵を切り、福祉国家の再編に取り組むことで、注目を集める国・ドイツ。1990年のドイツ統一以後、ドイツは、経済の停滞や排外主義的な暴力の顕在化など多くの問題を抱えた。その中でいかにドイツはこの難局を乗り切ろうとしているのか。初学者にも分かり易い記述で、統一後のドイツ政治の歩みを振り返り、その全体像を学ぶ。
目次
現代ドイツ政治とは何か―歴史と政治制度
第1部 ドイツの政治力学(キリスト教民主・社会同盟;社会民主党;緑の党;左翼党;自由民主党;労使関係;EUとドイツ)
第2部 ドイツの政策展開(外交政策;福祉政策;家族政策;脱原子力政策;移民政策)
著者等紹介
西田慎[ニシダマコト]
奈良教育大学教育学部准教授
近藤正基[コンドウマサキ]
神戸大学大学院国際文化学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
13
政治制度の章が特に参考になった。戦後ドイツの政治制度はヴァイマル共和国の失敗という教訓を踏まえて設計されたわけだが、ヴァイマルの教訓から引き出された政治制度としては、第一に、首相の更迭を難しくした事が挙げられる。ヴァイマル共和国では倒閣だけを目的とした政党連合が組まれ、首相を更迭しても、次の首相が決まらない事が多々見られた。これは政治混乱を招き、議会を迂回した政治決定を根拠付ける事になった。第二に、阻止条項が挙げられる。全国で合計して5%以上の得票を挙げていないと、比例代表の議席を与えないという制度だ。2016/08/23
Tomy
0
ドイツの政党、福祉政策、「EUの中のドイツ」など様々な視点から、現代ドイツ政治の特徴を解説してくれている。先日のテューリンゲン州の選挙の結果、左派党首相が選出されたり、18時以降の労働禁止の法律を通そうとしたり、ドイツ政治はとても面白いので、これを機にドイツに興味を持つ人が増えたら嬉しいです。しかし、一つ本書について納得いかない点があるとすれば、「戦後補償」に関して一切取り上げていないところ。確かに、書くと膨大な量になってしまうと思うけど、これ抜きにコール政権、シュレーダー政権は語れないと思う。2014/12/13