内容説明
かつて日本には多妻制度があり、自由恋愛禁止の時代があった―。本書は、文献・狂言などから時代をさかのぼり、自然でゆるやかにむすばれていた結婚制度から、江戸・明治時代を経て一夫一婦制につながる流れを追いつつ、男女が互いの愛情表現を磨いていた様子や、二人をとりまく家族形態もうまく機能していた様子を、わかりやすく語る。
目次
第1章 神と人とに交わる女―記紀の時代
第2章 多妻制度を生きる女たち―平安時代
第3章 自由恋愛から姦通厳罰化の時代へ―鎌倉・室町時代
第4章 恋愛禁制下の大奥と吉原―江戸時代
第5章 産業革命と生活の変革―明治時代
後記として―過去を振り返り、未来を展望すれば
著者等紹介
和田好子[ワダヨシコ]
1929年東京生まれ。神奈川高等女学校卒業。速記者を経て、1958年結婚。二児を生む。1975年投稿雑誌「わいふ」を友人らと発刊。副編集長として30年間携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きいち
25
これは広くおすすめしたい。◇紫式部は行き遅れではなかった!多夫多妻、農村の自由恋愛の伝統が、明治民法でそれまでごく一部の武士階層だけの締め付けが全階層化し、そうしてこじれた貞操観念が戦後まで引きずられてしまう経緯…、宮本常一を読んできた身にはとてもしっくりくる。著者は25年生まれ、女傑というか女史からの問題提起はとてもおもしろく小気味よくて、もっともっと読んでいたくなる。◇性犯罪の暴力性の許し難さの一方で、純潔の重視がなければ被害者の被害もずっと小さいはず…倫理の多義性を考えさせられるエピソードの数々。2019/11/15
双海(ふたみ)
12
かつて日本には多妻制度があり、自由恋愛禁止の時代があった。本書は、文献・狂言などから時代をさかのぼり、自然でゆるやかにむすばれていた結婚制度から、江戸・明治時代を経て一夫一婦制につながる流れを追いつつ、男女が互いの愛情表現を磨いていた様子や、二人をとりまく家族形態もうまく機能していた様子をわかりやすく語る。2023/03/22
kenitirokikuti
7
「よばい(「呼ばふ」の名詞化)」▲日本書紀 第二二清寧天皇紀。飯豊皇女(いいどよのひめみこ)、角刺宮(つきさしのみや)にしてまぐわい(與夫初交)したまふ。人に謂りて曰はく、「一(ひとはし)女(をみな)の道を知りぬ。又安(いづく)にぞ異なるべけむ。終に男に交はむことを願う せじ。」▲著者の姉(1923年生まれ)は、昭和14年ごろ、結核の転地療養中、よばいに遭ったそうである。この頃になると、単なる痴漢の覗きと変わらない。正式には若衆宿で知り合ったものがよばいに行くのであり、勝手に忍び込むのはあぶれ者である2019/04/21
mimm
4
古代から現代まで、女性の立場における恋愛(性)、結婚、立場の変遷。明治時代が決定的に女性の立場を貶めてしまったようなのですが、果たして「本来の日本人」はどの時代のことだろう。よもやこの、男性天国の明治のことか?とか思ったり。2017/02/17
さとちゃん
4
結婚における男女間の力関係と、経済力との関係に関する説明に、なるほど、と納得。王朝文学は好きでぽつぽつかじっていますが、生活を支える物品の生産と供給の状況までは深く考えていなかったことを反省。江戸時代の吉原遊女が20代で年季奉公を終えたらそこから出て一般人と結婚できた、など興味深く読みました。2015/09/28
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