内容説明
本書は、中世史家と近世史家の緊密な共同研究の成果である。ヨーロッパの宗教と政治をめぐる諸問題を、宗教が政治を巻き込んで国家・社会を統合する局面と、多様な異端や宗派が多元化をもたらす局面の両方に注目しつつ解明。考察の対象はローマ・カトリック世界に限定されず東方のキリスト教世界に及ぶ。キリスト教徒とムスリム、ユダヤ教徒との関係も論じた広い視野の新しい宗教政治史。
目次
中近世ヨーロッパ世界の宗教と政治―問題の所在
第1部 「ローマ」とキリスト教世界(中世キリスト教世界と「ローマ」理念―リウトプランド『コンスタンティノープル使節記』における「ローマ」言説;ローマはキリスト教世界の「頭」か?―東西教会の首位権をめぐる論争;遙かなるローマ―ノルウェー王スヴェッレにとっての教会権威と教皇庁 ほか)
第2部 宗派分裂と近世国家(“宗派形成の場”としての帝国議会―十六世紀ドイツにおける帝国等族の宗教政策と『アウクスブルク信仰告白』の政治的機能;カトリックを棄てた大司教―ゲプハルト・トルフゼスの改宗とケルン戦争;三十年戦争期神聖ローマ帝国の政治的「理性」―戦争をめぐる帝国等族間の議事から ほか)
第3部 異教との邂逅(十字軍としての「レコンキスタ」?―中世カスティーリャ王国における対異教徒戦争;近世スペインにおけるモリスコ問題―同化と異化の狭間に;寛容なる異教徒のもとで―オスマン旅行記著者たちの観察と決断 ほか)
著者等紹介
甚野尚志[ジンノタカシ]
1983年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。2009年博士(文学、早稲田大学)。現在、早稲田大学文学学術院教授
踊共二[オドリトモジ]
1991年早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学。2002年博士(文学、早稲田大学)。現在、武蔵大学人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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人生ゴルディアス
陽香