内容説明
加藤高明(一八六〇~一九二六)外交官・政治家。東大卒業後三菱に入社、英国留学後、官僚に転じて、英国公使・外相となる。憲政会総裁として首相をつとめ、普通選挙法を成立させ二大政党時代を切り開いた。日英接近を図るいっぽうで、対華二一カ条要求を行ったが、首相時代には協調外交を展開させた。その内政と外交の足跡に迫る。
目次
序章 加藤高明の歴史的役割は何か
第1章 誕生の時代―郷里から三菱入社まで
第2章 出発の時代―はじめてのイギリス
第3章 官僚の時代―外務省・大蔵省官吏
第4章 観察の時代―駐英公使として
第5章 活動の時代―日露戦争へ向けて
第6章 準備の時代―外相から駐英大使へ
第7章 転身の時代―政党政治家となる
第8章 闘争の時代―第二次大隈内閣の副首相
第9章 苦節の時代―野党党首として
第10章 結実の時代―首相としての最晩年
著者等紹介
櫻井良樹[サクライリョウジュ]
1957年千葉県生まれ。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程単位取得満期退学。博士(史学)(上智大学)。現在、麗澤大学外国語学部教授。専攻は近代日本政治外交史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Pyonkichi
1
バランスの取れた手堅い評伝でした。とくに加藤高明の政策観が、前半生においていかにして形成されたのかがよくわかった。ただ対華二十一カ条要求については、やはり上手く説明することは難しいようである。細かいところだが、p.20養家加藤武兵衛家の17石5斗というのは禄制改革を経た後の数字であり、高明の生家である服部家が江戸時代において切米11石だったのと比べると、おそらく「服部家より少し多かった」のではなくかなり多かった(つまりそれなりの格式の武家だった)のではないかと思う。2020/01/04
トロント
0
戦前は一角の雄と高い人気と評価を受けてたのにも関わらず戦後の評論で陰が薄い加藤高明首相の評伝。歴史上の論点となる第二次大隈内閣の外相時代にした対華二十一カ条要求の意図については曖昧に終わらせてるが概ねその生涯についてや業績について手堅くまとめている。しかし加藤寄りに書いたので無意識にライバルである原敬の評価を無意味に下げる傾向がやや鼻についた。