内容説明
本書は、現在の産業社会における環境的危機が、限界なき経済成長と競争的な物質主義という人間文明固有の価値観によって、いかに引き起こされたのかを多角的に分析。こうした産業文明の危機的状況やポスト産業社会の社会秩序のあり方が問われている時代にこそ、規範的な政治理論の力による地球環境危機への能動的な対応が求められていることを説く。持続可能なポスト産業社会へと変革していくための再検討プロセスへの参加を促す画期的書。
目次
第1部 先進産業社会の危機―「経済成長」中毒症の帰結(現代の産業危機と「成長の限界」をめぐる論争;産業社会的な幻想の終焉)
第2部 政治学の還元主義と近代経済学(近代における経済学の登場と政治学の崩壊;産業社会と経済還元主義―限界なき成長への過剰な依存による脱政治化 ほか)
第3部 物質主義の価値観―限界なき競争的な物質主義と規範的な「成長の限界」論争(生物物理学的な「成長の限界」を超えて―産業社会的価値観の評価;物質主義と近代政治哲学)
第4部 超産業社会的価値観―限界なき経済成長への中毒症から、非物質主義と非競争、参加民主主義、および、共同体への置換(超産業社会的な共同体への社会転換;結論―新しい超産業社会に向かって)
著者等紹介
カッシオーラ,ジョエル・J.[カッシオーラ,ジョエルJ.] [Kassiola,Joel Jay]
現在、アメリカのサンフランシスコ州立大学リベラル・クリエイティブアーツ学部の政治学担当教授。ニューヨーク市立大学(CUNY)を優等で卒業(政治学士)し、プリンストン大学大学院で政治哲学の修士号、同大学院博士課程で、政治哲学の博士号を取得。博士学位取得後、ニューヨーク市立大学の政治学担当の講師・助教授・准教授を経て、同大学の教養学部の学部長を歴任(ニューヨーク市立大学名誉教授)。その後、サンフランシスコ州立大学に移り、行動・社会科学部長を長年、歴任。専門領域は政治学、環境政治理論
松野弘[マツノヒロシ]
1947年岡山県生まれ。早稲田大学第一文学部社会学専攻卒業。山梨学院大学経営情報学部助教授、日本大学文理学部教授/大学院文学研究科教授/大学院総合社会情報研究科教授、千葉大学大学院人文社会科学研究科教授/千葉大学CSR研究センター長等を経て、千葉商科大学人間社会学部教授/大学院政策情報学研究科教授。博士(人間科学、早稲田大学)。日本学術会議第20期・第21期連携会員(特任―環境学委員会)。専門領域としては、環境思想論/環境社会論、産業社会論/CSR論・「企業と社会」論、地域社会論/まちづくり論
岡村龍輝[オカムラリョウキ]
明海大学経済学部専任講師
帯谷博明[オビタニヒロアキ]
甲南大学文学部准教授
孫榮振[ソンヨンジン]
高崎商科大学商学部兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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