内容説明
財政赤字はなぜ生み出され、累積されたのか―「見えない財政危機」にあえぐ日本財政の本質に迫るべく、財政金融、地方財政、予算、社会保障、税を網羅的に分析。日本の財政運営の特殊性を抉りだすため、先進諸国の経験を素材に「比較財政史」という新しい方法を提案する。
目次
財政学批判としての比較財政史―財政社会学の方法的豊富化のために
第1部 危機を不可視化する財政金融システム(現代日本における政府債務の受容構造―中央銀行の法的独立性と財政赤字の「相関」検証;ドイツにおける債務累積回避的な財政金融構造の形成過程―日本との対比 ほか)
第2部 統制と協調の政府間財政関係(日本における地方財政赤字の形成―政府間財政関係の制度分析;オーストラリアにおける財政再建―政府間財政の視点 ほか)
第3部 民主主義を変えるための予算制度改革(日本の予算制度におけるシーリングの意義―財政赤字と政官関係;アメリカの財政再建と予算制度改革―GRH法から九〇年包括予算調整法へ ほか)
第4部 普遍主義化の多様性(日本における財政赤字形成と社会保障財源選択―国際比較による帰結;ドイツにおける社会保障制度の変容と財政問題―ハルツ4改革と社会保障財政再編 ほか)
第5部 増税を可能にする条件(なぜ日本は増税できなかったのか―戦後租税政策の形成過程;付加価値税なき国、アメリカの増税政策―租税の公平性を中心に ほか)
なぜ赤字は生み出され、累積したのか―財政赤字の日本的特質
著者等紹介
井手英策[イデエイサク]
1972年福岡県久留米市生まれ。1995年東京大学経済学部卒業。2000年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。現在、慶應義塾大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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