内容説明
2012年度に入って生活保護をめぐる議論と改革に向けた動きが活発化している。いままさに、生活困窮者の生活支援のあり方を見直し、社会保障制度の抜本的な再編が求められている。このような状況をふまえて、本書では経済的・政治的・社会的に注目される「生活保護」に対して、多面的なアプローチを試み、その現状と問題点を解明するとともに、今後の改革の方向性を提示する。
目次
第1部 生活保護に分析のメスを入れる(生活保護への四つの批判―研究からの反論;生活保護改革論議の課題―法学の視点から;公的扶助への社会学的接近―生活保護と家族モデル;生活保護における社会福祉実践は、如何に可視化・評価されるのか;生活保護の歴史を概観する―受給動向と雑誌記事から;「自立支援」による生活保護の変容とその課題)
第2部 生活保護の受給者と行政の取り組みから考える(生活保護世帯の家計・生活構造―母子世帯を中心に;住宅困窮問題と生活保護および住宅政策;障害者の生活と生活保護制度;「食わせて寝かせる」から四〇年―救護施設と「最低基準」;医療ソーシャルワーカーが取り組む経済的相談―医療扶助を中心に;「自立支援」は生活保護をどのように変革(転換)したか―希望をもって生きる釧路チャレンジを通して
何を考えてケースワークをしているのか―反省も込めて
生活保護と就職困難者―埼玉県「生活保護受給者チャレンジ支援事業」のデータ分析)
第3部 諸外国の経験を視野に入れる(イギリスの公的扶助制度の展開と課題;フランスの公的扶助―ワークフェア・積極的連帯手当(RSA)
ドイツにおける最低生活保障制度―社会扶助と求職者基礎保障を中心に
スウェーデンの社会扶助受給者像と今日的課題
フィンランドの公的扶助制度と課題
韓国の国民基礎生活保障制度―現状と問題、そしてその特徴)
著者等紹介
埋橋孝文[ウズハシタカフミ]
1951年生まれ。1983年関西学院大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(経済学)。大阪産業大学経済学部、日本女子大学人間社会学部を経て、同志社大学社会学部教授、同志社大学社会福祉教育・研究支援センター長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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