内容説明
韓国は、1960年代後半以降、現在に至るまで、驚異的な経済発展を遂げてきた。しかしその一方で、社会的格差は拡大した。本書では、経済発展とともに、韓国の労働社会がどのように変化したかを、生産労働者の労働市場構造の分析を中心に歴史的に跡づけ、その特徴や意味を明らかにする。とくに、労働をめぐる社会経済構造の変化を、1970年代に形成された都市下層との関係から、周辺的労働者の増大や労働の非正規化に焦点を当てて考察する。
目次
序章 問題意識と分析視角
第1章 開発年代における都市下層の形成と労働市場
第2章 労働者大闘争と「87年体制」の成立―大企業と中小企業の「分断的労働市場体制」の成立
第3章 「新経営戦略」の展開と「87年体制」の変化―大企業における内部労働市場構造の深化と「周辺労働者」の増大
第4章 IMF経済危機以降の生産体制と「内部労働市場体制」の変化―「中核労働者」の非正規化を中心に
第5章 ジェンダーの視点から見た韓国における労働の非正規化―「インフォーマルな性格の雇用」の増大と非正規労働者家族の特徴
終章 新しい労働運動の模索のために―総括に代えて
著者等紹介
横田伸子[ヨコタノブコ]
1988年津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。1993年ソウル大学校社会科学大学博士課程単位取得。現在、山口大学大学院東アジア研究科教授、経済学博士(ソウル大学校)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。