内容説明
歴史のなかに常に存在し、近代ヨーロッパにおいてもながらく「日常的な出来事」であった飢えや貧困にたいし、人々はどのように取り組み、いかなる制度を作り上げていったのか。本書は、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、イタリア、ロシアを対象として、長期的視点から「福祉の複合体」の歴史的ダイナミズムを描き出す。
目次
序章 「福祉の複合体」の国際比較史
第1章 救貧法とボランタリズム 近世化のなかのコモンウェルス―イギリス福祉国家の歴史的源流を求めて
第2章 連携する官民の福祉 ゆりかごから墓場まで―イギリスの福祉社会一八七〇~一九四二年
第3章 フランス革命の理念と現実 公と民の対抗から協調へ―一九世紀フランスの福祉史
第4章 国家福祉の生成と展開 社会国家の生活保障―近代ドイツにおける社会保険と福祉政策
第5章 福祉国家と民間福祉 福祉国家を支える民間ボランタリズム―二〇世紀初頭ドイツを例として
第6章 市民社会と福祉国家 福祉国家のオルターナティヴ?―二〇世紀初頭スウェーデンにおける福祉社会
第7章 「労働」による援助 宗教的慈善から世俗的博愛へ―イタリアにおける世俗的援助団体と「公的」福祉の成立
第8章 チャリティ、地域福祉、国家福祉 救貧のトリアーデ―近代ロシアにおけるチャリティ、地域、国家
著者等紹介
高田実[タカダミノル]
1958年生まれ。1989年東北大学大学院文学研究科西洋史学専攻博士課程後期単位取得退学。現在、下関市立大学経済学部教授
中野智世[ナカノトモヨ]
1965年生まれ。2007年ドイツ連邦共和国、ダルムシュタット工科大学歴史社会学科修了。Dr.Phil。現在、京都産業大学経営学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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