内容説明
国家が公認した海賊行為「私掠」。帝国主義によって讃美されていた私掠が讃美されなくなり、女王、ドレイクらが英雄ではなくなった経過を辿りつつ、一次資料を駆使して、財宝船「神の母」号捕獲劇の興奮と大混乱を活写する。海賊国家イギリスを捉え直した意欲作。
目次
第1部 エリザベスの時代の私掠―私掠の最盛期(私掠とはなにか;私掠の小史;六つの主要航海)
第2部 「神の母」を捕える―史上最大の掠奪(事件の輪郭;出発から捕獲まで;積荷の掠奪;ウォルター・ローリーの再登場;積荷の分配;時代とともに;私利を求めたにもかかわらず)
著者等紹介
櫻井正一郎[サクライショウイチロウ]
1936年大阪府生まれ。京都大学卒業。同大学大学院博士課程中退。元、同大学総合人間学部教授。現在、同大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sankichineko
7
大国スペイン、フランスに脅かされた弱小国イギリスの、「窮鼠猫を噛む」的私掠についての一冊。エリザベスは国土と王位を防衛するために私掠を行った。私掠は莫大な利益を生み、造船、航海術の発達をももたらしたが、同時に国家と国王の権力を弱めたところが興味深い。私掠は商人に主導権をあたえ、社会、政治は腐敗した。政治家や海軍が自己利益を追求したためである。麻薬のように一時的に楽になっても、後からツケを払う羽目になるのでしょう。今の時代も教訓にしてほしい事例。2014/11/08
叙述トリックに盛大に引っかかりたい
1
エリザベス一世の生涯をある程度把握できたかな、と思うので、個別の事象に視点を当てよう!で読んだ本。 「私掠」が公私曖昧であったがゆえに、掠奪したものの分配で揉めたりガメたり。私掠の裏に渦巻く人間らしさをより深く知れた一冊でした。 なにより笑ったのは、ドレイクの対スペインの貢献が、わりと偶発的&結果論だったこと。ドレイクが私的な欲を出した結果、イギリスに公的な勝利をもたらした。2021/03/23
newborn
1
後半だらけてくる感じ2016/08/04
ろい
1
十六世紀後半の英国の「私掠(しりゃく)」についての一冊。 「半ば公認」の海賊行為、私掠が国家単位で行われたのは、弱小国イギリスが安価に大国スペインと闘うためだった。違法行為を公認化するという図式は常備軍を持たず、宣戦を布告せずに戦争するという奇妙な国際秩序を生み出す。しかし民兵の掠奪は国の威信低下と、賄賂・横流しの横行に繋がる。 面白いのは無秩序な掠奪が結果としてイギリスを優位に導いたこと、低下した女王の地位が、むしろその簒奪の意欲を削いだように見えること。 こんな国のトップは大変だ。2014/02/02
としん
0
女王陛下の胡椒の売買を阻止しようとする人々の話が面白かった。2015/01/08
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