内容説明
映画がたえず映し出してきた「社会」は、どのように映画に関わろうとするのか。映画が向けた「社会」への深いまなざしと、映画が受けた「社会」からの力。「社会」と映画のあいだに横たわる歴史的関係を問う。
目次
第1章 『愚者ありき』のトランスアトランティック「ヴァンプ」―アメリカ映画史初期から古典期への過渡期における性の地政学
第2章 恨みは長し60年―昭和初年の幕末映画をめぐるメロドラマ的想像力
第3章 ポール・ストランドの写真と映画―抽象化とリアリズムをめぐって
第4章 越境へのオープン・ドア―文化貿易の視点から見たアメリカ初期検閲制度
第5章 1950年代のアメリカ中産階級にとっての食肉―スウィフト社製産業映画『カーヴィング・マジック』を読み解く
第6章 「無垢な」観客と「洗練された」観客―初期映倫時代1949‐56年における隠喩的描写法
第7章 アラン・レネを見るゴダール―『ヒロシマ、モナムール』から『映画史』へ
第8章 オリバー・ストーンの『ニクソン』におけるニクソン表象―アメリカ社会の共同幻想とメランコリーの政治学
第9章 アメリカ映画における社会変動とスタイル変容―『素晴らしき哉、人生!』から『クラッシュ』へ
第10章 記憶のなかの国―再統一後のドイツ映画が描く東ドイツ
著者等紹介
杉野健太郎[スギノケンタロウ]
1961年岐阜県生まれ。上智大学文学部哲学科および英文学科卒業、上智大学大学院修了(英米文学専攻)。広島大学総合科学部助教授、ウィスコンシン大学マディソン校英文学科客員研究員などを歴任。現在、信州大学人文学部教授。アメリカ文学・文化、映画学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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