出版社内容情報
哲学者とはいかなる人物なのか。何を、どのように、考えているのか。思考を極限まで厳密に突き詰めたがゆえに実践的であるという、驚くべき哲学プログラムを作り上げたスピノザ。本書は、難解とされるその全体像を徹底的に読み解くことで、かつてない哲学者像を描き出す。哲学の新たな地平への誘いがここに!
内容説明
哲学者とはいかなる人物なのか。何を、どのように、考えているのか。思考を極限まで厳密に突き詰めたがゆえに実践的であるという、驚くべき哲学プログラムを作り上げたスピノザ。本書は、難解とされるその全体像を徹底的に読み解くことで、かつてない哲学者像を描き出す。哲学の新たな地平への誘いがここに!
目次
序章 哲学者の嗅覚
第1章 読む人としての哲学者―『デカルトの哲学原理』
第2章 準備の問題―『知性改善論』『短論文』
第3章 総合的方法の完成―『エチカ』第一部
第4章 人間の本質としての意識―『エチカ』第二部、第三部
第5章 契約の新しい概念―『神学・政治論』
第6章 意識は何をなしうるか―『エチカ』第四部、第五部
第7章 遺された課題―『ヘブライ語文法綱要』『国家論』
著者等紹介
國分功一郎[コクブンコウイチロウ]
1974年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在―東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻―哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
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コットン
82
哲学は相対的に難しい。難しいものを簡易的に易しく解説すると間違いが生じやすい。國分さんの解説は論点に至るまでの状況説明の的確さと論点の独断的で柔軟な見方によって結果的に分かりやすく理解できる所が凄いがこの本は難しい。例えばデカルト哲学の読み込みに専念するスピノザはデカルトの「私は考える、故に私は存在する」は考えることが大前提でそこを疑うとデカルト哲学は崩壊する。スピノザはどうすれば整合的にこの哲学の出発点を解釈できるだろうかと考えるのだ。と著者は分析していく。2023/03/15
おたま
68
うーん、難しい。難しいというのは、たぶんスピノザの思考方法が通常の思考方法と異質であるからだろう。スピノザの全ての著作を対象にして、その思想の変遷のキモを解説しているが、うまく捉えられないことが多い。「100分de名著」での『スピノザ「エチカ」』は分かったつもりでいたが、一歩踏み込んで読むとやはり十分には理解できていなかった。ちょうど吉田量彦の『スピノザ』も今年出版されている。またドゥルーズの『スピノザ』も分かりやすいということなので、それらを読んでから再読したい。また吉田訳『神学・政治論』も読みたい。2022/12/11
ころこ
52
生い立ちから『国家論』で著者の「来るべき民主主義」論まで論じられているので、スピノザは網羅している。ではこの本を読めば済むかというと、この本は難しくてなかなか読めない。その理由は、著者の書き方にあるのではなく、スピノザが難しいから。スピノザが論じていることが、読者一般がはじめに想起することと随分と異なっているからだと思う。別のところで著者は「スピノザはOSが違う」と表現している。第1章で結果→原因の分析的方法(デカルト)と違う原因→結果の総合的方法(スピノザ)、第2章で『知性改善論』と『短論文』から『エチ2022/11/29
うえぽん
45
主著エチカを中心にスピノザの著書のエッセンスを、「読む人」の観点から潜在的哲学者に問いかけた好著。スピノザの言葉遣いが独特で、かつ結論と言える定義と公理を先に挙げて論述する様式のお陰で読み解くのは骨の折れる作業だと思われたが、それ故に筆者がのめり込んだのだと想像。関心を持った概念としては、自己の存在に固執しようと努力するコナトゥスというホメオスタシスに似た概念や、至高の権力を承認する契約だけでは足らず、道徳心に従うとした神との契約(法制度や理性的計算だけに還元できない何か)が必要とした独特の国家論がある。2024/03/24
シッダ@涅槃
28
読むのに苦労しました。特に序盤の『デカルトの哲学原理』、『知性改善論』など扱ったところはあまりに馴染みがなかったためか、文体上そこまで難解ではないのに、挫けそうになった(実際1回挫けた)。全体的に「ある程度知ってる人」向け以上の本だと思う。『エチカ』の難解さに挫折したひととか。少なくともスピノザは訳書に触れたことあるひと向けだと思う。國分氏が「エチカは四部から読むのがオススメだがどこから読んでも良い」と主張してるように、興味ある所から読むのが良いと思う。國分さんらしいところなんだが、最後感動的です。2023/01/26
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