内容説明
北一輝(一八八三~一九三七)政治思想家・実践家。独学によって自らの思想形成を行い、生涯定職につくことなく波乱に満ちた人生を歩んだ北。若くして日本的社会主義の理論を構築し、アジアの復興を目指したが、そのために必要な急進的変革思想と具体策の提示によって、昭和の日本政治に大きな衝撃を与えた浪人の実像に迫る。
目次
序章 「日本改造」浪人のエピローグ
第1章 佐渡の歴史と風土
第2章 民権運動の盛衰と若き政論家の旅立ち
第3章 迫りくる日露の危機と思想核の形成
第4章 『国体論及び純正社会主義』の刊行とその反響
第5章 清末の混迷と中華民国の迷走
第6章 支那革命への参画と献策
第7章 『支那革命外史』の思想と日本改造
第8章 大正という「谷間の時代」と社会変化
第9章 「日本改造の急進的提案」とその影響
第10章 昭和維新運動の展開と二・二六事件
終章 戦後日本と北の評価
著者等紹介
岡本幸治[オカモトコウジ]
1936年京都市生まれ。1960年京都大学法学部卒業。三井物産株式会社勤務の後、京都産業大学法学部講師、大阪府立大学総合科学部助教授、インド国立ジャワハルラル・ネルー大学客員教授、愛媛大学法文学部教授、大阪国際大学政経学部教授、近畿福祉大学教授を経て、大阪国際大学名誉教授、法学博士(京都大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よしひろ
8
日本の国体について考え、行動した北一輝の考えをもっと知りたいと思った。2016/03/02
衛府蘭宮
3
読み応えがあるのは「支那革命」に挫折し帰国するまでだった。それ以降(と国体論から渡清までの間)の伝記的記述は乏しい。著者の戦後民主主義批判(?)らしきものがところどころで出てくるのは蛇足感がある。阪神大震災が平成13年になっていたり、昭和11年を昭和51年って書いていたり、西暦と元号の年がズレていたりと、校閲ガバガバな箇所が多い。2022/11/04
鈴木貴博
1
北一輝。生涯定職に就かず、独学によって独自の思想形成を行い、大陸の革命運動に身を投じ、その経験も踏まえて日本の抜本的改造を主張した。「日本改造法案大綱」が青年将校に誤った思想を及ぼしたとされ、民間人であるにもかかわらず二・二六事件の叛乱罪の首魁とされ刑死。著者が戦後の著名な学者や作家も北を誤解してきたと指摘するように、その思想は今から見れば前提知識も多く必要とし、なかなか難解であり、それが理解できたとはとても言えないのだが、思想家北の生涯について時代の流れとともに一通り知ることができた。2019/05/12
denz
0
ナショナリズム(「国家≧国民主義」)という思想軸を社会状況によって、国家と国民との重点を移す現実主義的社会主義者として、北を描く。かなり「状況」としての通史的部分が多いものの、独特な史観を読みやすく書かれている。2011/09/27