内容説明
近代イギリス隆盛の基盤を築いたとされ、華やかで神話的なイメージのエリザベス。かたやエリザベスの異母姉にしてイングランド最初の女王でありながら「血まみれのメアリ」と揶揄されるメアリ。ふたりの女王のまったく異なる評価の背景にあるのは、近代イギリス成立と密接に結びついていた「宗教改革」の問題である。本書は、反カトリックという先入見を拝し、いま一度、メアリ時代を宗教改革史の流れのなかで捉え直し、メアリ時代からエリザベス時代への移行を考察する。
目次
メアリ一世の時代
第1部 メアリ時代再考(イングランド最初の女王;トマス・ワイアットの乱;出版統制とプロパガンダ;メアリ時代の「教会改革」構想)
第2部 教区の動揺(翻弄される教区教会;妻帯聖職者;変化する聖職者の地位;ヨーク聖史劇の終焉)
メアリとエリザベスの時代―歴史に刻まれた光と影
著者等紹介
指昭博[サシアキヒロ]
1957年生まれ。1987年大阪大学大学院文学研究科史学専攻博士課程単位取得満期退学。博士(文学)(大阪大学)。現在、神戸市外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
104
ヘンリー死後、6年間のエドワード統治。メアリー統治の五年間はカトリックへ回帰。45年にわたるエリザベス時代に宗教改革はほぼ完成をみる。ジョン・フォックスの殉教者列伝の影響もあり、残忍性が強調され顧みられることの少なかったメアリ統治時代をデータも用いて分析し、エリザベス時代とも比べて論じている。最も興味深かったのは、カトリックとの決別により、パジェントなどのおそらく教区ごとに行われた聖史劇は姿を消していったという記述。代わりにロンドンに劇場ができた。シェイクスピアが登場するのは歴史の流れだったのかしら。2022/02/26
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
23
▼面白かった。イギリス国教会の宗教改革は、国王が変わるたびに、プロテスタント寄りに、或いはカトリック寄りにと大きく揺れながら進んだ。特に1553年から5年間在位した女王メアリの時代には教会が、カトリックに復帰するという出来事があった。▼この本では、特にメアリの時代の教区教会の聖職や信徒の間に、どのような動揺や混乱があったのかを論じている。▼国教会の教義がどのように変化しようとも、臨機応変に対応する聖職・信徒がいるかと思えば、逃げたり殉教する者もいたという。▼キリスト教史に関心のある人におすすめしたい。 2023/01/12
人生ゴルディアス
6
プロテスタント国家イギリスの、カトリックの最後の反動であるブラッディ・メアリーの治世。という認識が確かに自分もあって、けれどそれは正しいのだろうかと問い直す本書。常識に照らせばわかるように、昔も今も人は人で、いきなり文化や慣習を変えられるはずもない。メアリの独りよがりな反動ではなく、国内にも多くの賛同者がいたのでは、等々。政策が180度転換する中で、聖職者の数が確保できなかったり、カトリックへの復帰には儀式用の道具をそろえたりするのに余計な手間がかかるため不利だったとか、興味深い指摘も多かった。2017/05/23
Mana
2
ブーリン家の姉妹を読んでからメアリ一世が好きになったので、この本は比較的メアリに好意的で嬉しい。歴史的な話は面白かった。宗教的な話は難しい。2022/03/03
サラ
2
史料として2017/03/04
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