目次
第1章 現代日本への警鐘(甦るドストエフスキーの世紀;個性殺しの「平等教育」を断て―ドストエフスキーが予見した近代の桎梏;創刊時の唯一人の生き残りとして)
第2章 時流を読む(二〇〇九年を解く;二〇〇八年を解く;二〇〇七年を解く;二〇〇六年を解く)
第3章 マスコミの体質とは(マスコミの体質とは―偏向の実態と原因;今の社会を如何に正すべきか;平田精耕老師(天龍寺管長)を偲ぶ
すわらじ劇園の教育的効果
世界の人々との心の交流
教科書検定制度は廃止した方がいい
しつけ三原則再論)
第4章 神に見放された人間主義の風土(ヒューマニズムの空洞化;価値相対主義の泥沼;人権の形而上学的根源;神なきヒューマニズムの悲劇;無神論的社会主義の導く先;宗教的自我の模索;宗教的情操の教育について)
著者等紹介
勝田吉太郎[カツダキチタロウ]
1928年名古屋市に生まれる。1951年京都大学法学部卒業後、ただちに助手となり、講師、助教授を経る。1964年教授に昇格。1962年法学博士(旧制)となる。1991年京都大学退官。京都大学名誉教授となる。奈良県立商科大学教授に就任、同大学学長(~94年)。奈良県立大学名誉教授。1994年鈴鹿国際大学教授に就任、同大学学長。2002年以後、同大学名誉学長。2000年教育改革国民会議委員(~02年)。2004年瑞宝重光章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kei
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ドストエフスキー読んだことないくせに(挫折した)タイトルがとても興味深かったので読んでみた。なるほど、しかでてこない。一世紀も前のドストエフスキーが、神が死んだ世界では人類は何をしてもよくなる。とニヒリズムを啓発していた事が現代の日本でも言えるのではないかと。親殺し子殺し自殺の増加、憂さ晴らしで人を殺してみたなど、信仰心が薄い日本ではまさにドストエフスキーが懸念していたことが起こっているではないかと。他にも現代世界の問題が書いてあって、すごく頭の良い方なんだなと思った。他の著書もよみたい2015/03/14
kk
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“西欧世界の「一神教」の土壌に出現するニヒリズムとは、あくまで自覚的・劇的なもの、「神への叛乱」という形で激越で激情的な様相を呈します。他方で日本のような“汎神論”的な風土では、近代化・世俗化のはてに、「聖なるもの」への畏敬と畏怖が希薄化し、それへの無関心と冷笑が次方に拡大していく、そしてふと、気がついた時にはどす暗いニヒルな心性と情念とが人間不信と社会への憎悪の姿をとって蔓延しているといえるでしょうね。”(7頁)―秋葉原事件を経て、我々はブレイヴィク事件をも目の当たりにした。本書第一章は再読に値する。2013/11/24