内容説明
北畠親房(きたばたけちかふさ、一二九三~一三五四)鎌倉~南北朝期の公卿。後醍醐天皇から信任を受け、劣勢の南朝を支え続けた北畠親房。南朝の正統性を主張した『神皇正統記』などの著作により、戦前は過度に高く、戦後は過度に低く評価されてきたが、本書では動乱期を生きた一人の公卿という視点から捉えなおす。
目次
第1章 京都での日々
第2章 陸奥への旅立ち
第3章 伊勢の神風
第4章 常陸での苦闘
第5章 吉野からの反撃
第6章 ふたたび京都、そして吉野・伊勢
著者等紹介
岡野友彦[オカノトモヒコ]
1961年神奈川県生まれ。1984年國學院大學文学部卒業。1989年國學院大學大学院文学研究科博士課程後期修了。現在、皇學館大学文学部国史学科教授。博士(歴史学)(國學院大學)。専攻は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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浅香山三郎
10
戦前、戦後の北畠親房とその著書『神皇正統記』への曲折した正反対の評価のなされやうから一旦離れ、彼の生ひ立ちと事績を再度検討する。南北朝内乱といふ事態のなかで公家としては、京都・奥州・常陸・伊勢・吉野と、各地に足跡を残す稀有な人物であり、それゆへに論点も多岐にわたる。また、北畠家の成り立ちを追ふ論点は鎌倉時代からフォローされるので、取り扱ふ時間軸も長い。近年の南北朝時代の研究潮流のなかで、著者による親房像がどう位置付けられるのかといふことを、少し意識して他の本などを読んでみたいと思ふ。2021/04/17
MUNEKAZ
6
北畠親房の評伝。南朝の大物というイメージだが、最初から主流派にいたわけではなく、その存在感が高まるのは足利尊氏の離反以後、吉野にいたのも最晩年のみというのは面白い。というかこの方、自らの信ずる「正統」へのこだわりから後醍醐ともそりが合わず、足利氏には不信感全開で、南朝内の穏健派とケンカをし、武士顔負けに最前線でも頑張っちゃうようなこの時代らしい逞しいキャラクターの持ち主。また護良親王を介した赤松氏との繋がりや、『神皇正統紀』の解釈についても興味深かった。2017/09/30
トーマス
1
むしろ傍流ともいえた北畠家がいかにして勃興したかという点を当時の宮廷の状況から解説し、また不世出の貴族・北畠親房がいかにして成長し、力を発揮するようになったかを地方歴任した軌跡から描いている。なかなか面白かった。2015/02/24
ひでっち
0
今まであまり南朝方の人物に思いを馳せたことがなかったので、興味深く読みました。そもそも後醍醐天皇が「つなぎ」の存在だったなど知りませんでした。大覚寺統の「正統」もいろいろな意味で移動してしまったのでしょうか・・・。2012/10/17
9rikaz00
0
あまりに頑固な皇統の守護者北畠親房公。武家嫌いの極まった彼に、もう少しの柔軟さがあったら歴史はどうなっていただろう。この時代の人物たちの不安定さがおもしろい2011/09/27
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