内容説明
ジャーナリスト陸羯南は、藩閥政府の欧化主義を批判した反骨の政論記者、あるいは明治の健康なナショナリズムを体現した言論人とされてきた。本書では、陸が主宰した新聞『日本』の論説を読み込むことで、政論家としての新たな実像に迫り、日本にジャーナリズムが定着していく過程を明らかにする。
目次
第1章 生い立ちから官僚生活まで
第2章 政論記者の世界へ
第3章 『日本』の創刊
第4章 条約改正問題にあらわれたナショナリズムの思想
第5章 ジャーナリズムと政治社会の論理
第6章 議会政治と新聞の役割
第7章 対外硬運動とナショナリズム
第8章 日清「戦後経営」と『日本』
第9章 対外問題と新聞経営―日露戦争前
第10章 日露戦争前後
著者等紹介
松田宏一郎[マツダコウイチロウ]
1961年広島県生まれ。1988年東京都立大学大学院社会科学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。現在、立教大学法学部教授(日本政治思想史)。法学博士(東京都立大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バルジ
3
明治期のいわば「健康なナショナリズム」の典型例と持ち出されがちな陸羯南をその神話から解放する一冊。著者は「健康なナショナリズム」の唱導者としての羯南を評価しないばかりかむしろ冷ややかに語る。彼の国民主義についても思想史的な意義を感じていない。しかしその後の言論活動におけるある種の冷静さと最後まで自身の「政論」を自らの望む形で維持せんとした羯南の姿に深く共感を寄せているように思える。政治との距離感に苦慮し時に模索しつつも対外強硬論等の「売れる」言論をあえて排除せんとした羯南の姿こそ我々は学ぶべきであろう。2024/08/23
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